タイム・ラヴァーズ 時空を繋ぐ指輪を観た感想と評価:映画考察

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皆さんこんにちは。
久しぶりの映画考察、伊達あずさです。

そんな久しぶりに紹介する映画は・・・
タイム・ラヴァーズ 時空を繋ぐ指輪(THE LOVERS)」です。

いつもの様に作品情報から。

タイム・ラヴァーズ 時空を繋ぐ指輪
原題:THE LOVERS
ジャンル:SFアクション
製作国:ベルギー、インド、オーストラリア
公開年:2015年
監督:ローランド・ジョフィ
概要:時は2020年、主人公のジェイは古い難破船の中で見つけた不思議な指輪を取ろうとして事故にあい、海底で身動きが取れなくなった恋人のローラを助けるべく、無茶をし意識不明の重体となってしまう。時は遡り舞台は1778年、主人公ジェームスはクーデターによって暗殺された先代の王の子を身ごもった王妃の輸送任務を遂行中、王妃に成り代わっていた侍女トゥラジャと恋に落ちる。これは242年の時を超え不思議な一対の指輪によって繋がれる恋人達の物語。

何かこの映画の概要を書くの物凄く苦労しました・・・
映画のタイトルに「タイム」と付いていたため、使命感からDVDを借りてみたものの、概要からしてかなりの唐突感・・・
何となく既に暗雲が立ち込め始めているような・・・

ともあれ、久しぶりのタイムシリーズですから、過去の作品も並べてみましょう。

タイム・リーパーズ(原題:COLLIDER):おすすめ度★★
タイム・ルーパー(原題:Time Again):おすすめ度★
タイムシャッフル(原題:Time Lapse):おすすめ度★★★
タイム・ハンターズ(原題:Fort Ross(英語名)):おすすめ度★★
タイム・チェイサー(原題:I’ll Follow You Down):おすすめ度★★★
タイム・ラヴァーズ(原題:THE LOVERS)

今の所、タイムシリーズの平均おすすめ度は★2.2と相変わらずの低めです。
そうはいっても、時間がテーマの物語は好きな私・・・なのですが、原題に「Time」がついていないんですよね・・・
今までの傾向からいっても、原題の方が明らかに映画の内容を正しく示していることが多いわけです。

そんな、不安が募る「タイム・ラヴァーズ 時空を繋ぐ指輪」に対するおすすめ度は・・・

おすすめ度(5段階):★★

う~ん・・・一言で言うと良くわかんない・・・
物語の内容が分からないというわけではなく、指輪の存在意味と、2020年と1778年という2つの時代を一緒に取り扱った製作者の意図が分からないのです。
映画のほとんどは1778年の話に割かれているんです。そして、それなりにお金もかかってる感じなんですよね。
別に1778年の話だけで終わらせてもよかったんじゃ・・・物語的に2020年の話と指輪の話が無くても全然成り立つし、むしろそれらがあることでかえって訳が分からなくなっちゃってるんですよね。それにやっぱり、タイム要素はほとんどありませんでした・・・
何かタイム・ハンターズを思い出すなぁ・・・タイム・ハンターズのイギリス版みたいな感じです。(製作国にイギリス入ってないですけど)

ここからはネタバレを含みますので、これから観る予定がある人は「タイム・ラヴァーズ 時空を繋ぐ指輪」を見終えてからにしてくださいね!

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<以下ネタバレを含みます>

登場人物

主人公:(未来)ジェイ/(過去)ジェームス
主人公の彼女:(未来)ローラ/(過去)トゥラジャ

考察・感想(ネタバレ含む)

登場人物がえらい少ないですね。
実際は結構多くの人物が物語には登場しているのですが、原題がTHE LOVERSというだけあって、主人公とその彼女が物語の中心であるため、他の人物は・・・まあ、雑な言い方をすると結構どうでもいいんです。
物語の中心となる1778年の時代に関しても、タイム・ハンターズの時のように歴史に詳しくなければ話がわからないということもなく、アクションシーンも多いため観やすい映画ではあります。

とりあえず話の流れを物凄くざっくりまとめると・・・

あらすじ

2020年、海洋調査中に発見した難破船の中から指輪(片方)を発見する。
ローラが指輪を手に入れるため馬鹿な行いをし、難破船の残骸の下敷きとなり身動きが取れなくなる。
恋人ジェイがローラを助けるめ、素潜りで海底まで行き、ローラを救助するという離れ業による代償で意識不明の重体となる。
話はイギリスによるインドの事実上の植民地が進む1778年に遡る。
インドのとある王国で王妃に使える侍女トゥラジャは王妃から一対の不思議な指輪を渡される。しかし、イギリスの謀略によって国にクーデターが起こり、王は殺され、王妃は幽閉、トゥラジャ自身も傷を負い、王宮より逃げることとなる。
現王と現王妃は前王妃の殺害を熱望したが、将校ジェームスがこれに強く反対し、ポンペイへの幽閉を進言。それにより、自らが王妃のポンペイ輸送を担当することとなる。
クーデターを生き延び、王妃の救出を試みるべく王宮に単身潜入した侍女のトゥラジャはこれを好機と捉え、輸送中に王女を逃がす計画を立てる。
前王妃が生き延びていることを良しとしない現王妃が差し向けた暗殺集団からの襲撃を奇策を持って潜り抜ける内、ジェームスとトゥラジャは恋に落ちる。
それがきっかけとなり、ジェームスは自らの正義のため王妃を開放する決意を固める。
自らの任務に逆らったジェームスは国から重い裁きを受けることは必至、それに心を痛めたトゥラジャは自らが王妃の身代わりとなることを申し出る。
前王妃を取り戻したトゥラジャの父は正式に現王に反旗を翻す。しかし、イギリスが現王を変わらず支持する構えを取ったため、トゥラジャの父率いる反乱軍とイギリスの間で正式な戦争が勃発することとなる。
その後、トゥラジャは仲間達の助けを受け、ポンペイから脱出する。その際、ジェームスに手紙と指輪の片方を残すが、トゥラジャがイギリス人と良い仲になっていることを快く思わないトゥラジャの仲間が手紙を持ち去ってしまう。
さらに、以前よりジェームスに恋心を抱いていた女がジェームスとトゥラジャの仲に嫉妬し、トゥラジャが王妃では無かったことを密告してしまう。
これにより、立場が悪くなったジェームスはこの戦争の最前線の指揮官に任命され、トゥラジャ達反乱軍と完全な敵味方となってしまう。
トゥラジャが残そうとした手紙から敵の指揮官ジェームスと娘が恋仲であったことを知り、娘が持つもう片方の指輪を利用してジェームスをおびき出し暗殺する計画を企てる。
暗殺の計画を知ったトゥラジャがそれを阻止すべく奔走するも、願い届かずジェームスは殺害されてしまう。
時は流れ再び2020年、意識不明のジェイは意識を取り戻すこともなく、医者達も既に匙を投げていた。
そんな中、ローラは良く分からない科学理論に基づいて、ジェイの意識を取り戻すためにはあの指輪が必要だということに気づきます。
指輪を難破船から引き上げるべく、再び海底へ潜ったローラは今度こそ指輪を無事に手に入れ、最新技術を駆使して既に化石となりつつあった指輪を復元します。
しかし、指輪が片方しかなかったためかジェイは意識を取り戻しません。そこにトゥラジャがもう片方の指輪をもってローラの元へ現れます。
ローラの手によってジェイの指には2つの指輪が・・・ジェイは意識を取り戻しハッピーエンド。

こんな感じでしょうか。
こうして、あらすじを書きだしてみると、本当に2020年の部分が浮いているのが分かると思います。
恐らくは、ジェイはジェームスの生まれ変わりで(役者さんが同じ人でしたし)、242年前に助けることができなかったかつての恋人を指輪の力を使って助けましたということなのでしょう。

しかし、これにはかなりの疑問が残ります。

疑問その1:どうやって2020年に行ったの?

映画を観た限りでは指輪の力で2020年にタイムトラベルした感じでもなさそうなんですよね。
映画の冒頭にも登場していた導師なる人物が扉に向かって呪文を唱え始めたところで2020年にシーンが移っているので、導師とその導師が住む建物自体にタイムトラベル能力があるようなんです。でも、そうするとふとした疑問が浮かぶんですよね。
だって、トゥラジャの個人的な想いのためだけに、導師はタイムトラベルを許したわけですよね?
そんな簡単にタイムトラベルさせてもいいなら・・・

「ちょっと過去にタイムトラベルして、ジェームスを助けてあげたらいいんじゃ」

う~ん・・・もしかすると、未来にしかいけないとかなのかな。(だとするとトゥラジャ戻ってこれなさそうですけど・・・)

疑問その2:どうやって2020年のジェームス(ジェイ)のピンチを知ったの?

そもそも、どうやってジェームスの生まれ変わりの存在を知ったんでしょう。
タイムトラベル系というのは、既に知っている事実を変えようと試みるケースがほとんどです。
っていうか、これから起こる出来事を知ってるからこそ、そこに戻って変えようとするわけですよね?

でも、未来にタイムトラベルする場合、話はややこしくなります。
過去と違って、未来のことは実際にタイムトラベルしてみないとわかりません。
そもそも、ジェームスが生まれ変わることすらわからなければ、未来のジェームスが困っているかもわからないのに、どうしてあれだけピンポイントにタイムトラベルできるの・・・
っていうか、それならジェームス(ジェイ)が意識不明になる前に助けてあげればよかったんじゃないの!?
どうせ指輪を渡すなら、ローラが海底に指輪を取りに戻ろうとする前に指輪を上げれば、ローラは無理して海に潜らなかったんじゃないの?
そうすればジェイだって意識不明にならずに済みます。
まして、一度生まれ変わったってことは、今後も生まれ変わる可能性があるわけです。どうしてまた2020年のジェームスを選んだの?
幾らトゥラジャが未来視の能力があるとはいえ、あまりにむちゃくちゃ過ぎます。

しかも、2つの指輪をつければジェイが意識を取り戻すっていう確証なんてなかったでしょうに・・・だって指輪にそんな能力があるだなんて話も無かったわけですから。
ローラがテレビ?か何かでやっていたとんでも科学番組のようなもの偶然見て、勝手にそうだと思い込んだだけですよね?
物凄く行き当たりばったり感が強い雑なタイムトラベルなんですよね。

疑問その3:わざわざトゥラジャ自ら指輪を持っていく必要があったの?

良く考えるとトゥラジャの最後の行い(ローラに指輪の片方を渡した)って全く意味の無い単なる自己満足だと思うんです。
そもそも、2020年に指輪が見つかったとき片方しかなかったのって何故だと思いますか?
トゥラジャが2020年にローラに指輪を手渡せたということは、1778年にトゥラジャはジェームスの死体から指輪を取り戻していたということになります。
その時、指輪はちゃんと2つあったはずです。ジェームスはトゥラジャより託された片割れの指輪を持って出かけましたし、ジェームスは死ぬ前にトゥラジャが本来持っているべきであったもう片方の指輪を案内人の少年から手渡されているので。
なのに何故海底では指輪が片方しか見つからなかったのでしょうか・・・答えは簡単!トゥラジャがもう片方の指輪を2020年に持って行ったためです。
じゃあ、トゥラジャがタイムトラベルなんてしなかった場合はどうなったかというと・・・
2020年で指輪はちゃんと2つ見つかり、トゥラジャがわざわざローラに届けなかったとしても、ジェイは助かったはずなんですよね~
あ~あ、そうなるとタイムトラベル自体が物語的にまったく意味の無い行為となってしまうんです。

と、2020年(と導師)の存在が映画のストーリーを物凄くチープにしてしまっているんです。
1778年の話だけにして、アクション・ロマンス時代劇としてしまえばこんなことにはならなかったでしょうに・・・
2020年のシーンと導師とトゥラジャの絡みのシーンを丸々カットしても、映画としては全然成り立っちゃうのにな~
タイム・ルーパーの時もそうでしたが、後から無理やり尺を伸ばしたようなストーリーの映画にはろくなことが起こりませんね・・・

さて、このまま終わってしまうとただ単に映画に文句をつけただけに終わってしまいます。
やっぱり作品へのリスペクトは忘れたくないものです。
そこで、ちょっと私なりにトゥラジャの行いを解明してみようと思います。

伊達の新提案:実はトゥラジャはタイムトラベルなんかしていなかった説

映画を観ると1778年から2020年のシーンは導師の呪文詠唱シーンを挟んで一瞬なのですが、実はこの導師の行為がもしもタイムトラベルではなかったとしたら・・・

実はこの時、導師が行ったのは不老不死の儀式だったのです!

これによってトゥラジャは永遠の命を手に入れました。永遠の命を得たトゥラジャは自身の未来視能力を活かし、次の時代で生まれ変わったジェームスを探し出し、再び恋人関係になりました。
トゥラジャを愛していた時の記憶を失っているはずのジェームスが再びトゥラジャと結ばれたことにはちゃんとした理由があるのです。
実はあの指輪にはジェームスが最初に死んだときの記憶が残されているのです。
この指輪を生まれ変わったジェームスの指にはめることで、ジェームスの前世の記憶は取り戻され、その後は互いに指輪を1つずつ身に着けることで永遠の愛を保つことができたのです。
しかしながら、そんな2人の幸せも長くは続きませんでした。
インドを離れ、オーストラリアへ向かう航海の途中、激しい嵐に遭い2人が乗った船が沈没してしまったのです。
トゥラジャは不老不死のため、生き延びますがジェームスを助けることはできず、ジェームスは指輪の片方と共に海の藻屑となってしまいました。
その後もジェームスを諦めきれず、再びジェームスの生まれ変わりを探し続けるトゥラジャ。
しかし、指輪を片方失ってしまった今、生まれ変わったジェームスの心を射止めることができるかは不確かです。
案の定、今世のジェームスことジェイもローラという女性と恋仲になってしまっており、トゥラジャが入り込む余地は既に無くなってしまっていました。
そんな折、ジェイの事故の話を耳にします。しかも、事故には例の指輪が絡んでいることも突き止めました。
更にありがたいことにローラ自ら指輪の片割れを海の底から拾ってきてくれたではありませんか。
そこで、トゥラジャはジェイが意識を取り戻さないことに落胆しているローラの元に近づき、そっともう片方の指輪を手渡します。
ローラの手によってジェイの指には2つの指輪が・・・これによってジェイの体はジェームスのものとなり意識を取り戻しました。
この時トゥラジャはきっとこう思ったでしょう。

「やっと、彼を取り戻せた」・・・と・・・

というのはどうでしょう!
なんか最後ちょっと怖くなってますけど、これなら2020年に居たトゥラジャが現代風のファッションとメイクに身を包んでいたとしても何ら違和感がなくなると思うんですよ~
1778年からタイムトラベルしてきたんだとすると、あの服装とかメイクはどこで手に入れたのよってなりますもんね!
まあ、導師のシーンからして、当人の許可もなく勝手に不老不死にするとか出鱈目にも程がありますが、導師の人格さえ犠牲にすれば、タイムトラベル説よりは話の辻褄が合うし、トゥラジャがローラに指輪を託すシーンにもちゃんとした意味が出てくるんじゃないかな~と思うんです。

う~ん・・・まあ、本当にそういう映画だったとしても、おすすめ度が上がったりはしないかもしれませんけどね・・・

映画考察とか言いながら、勝手に映画のストーリーを変えちゃうという結末になってしまいましたね。
あ~あ、★★★★以上のタイムシリーズに出会えるのはいつのことになるのやら・・・
以上です。

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