タイム・ハンターズを観た感想と評価:映画考察

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皆さんこんにちは。
伊達あずさです。
何だかんだ言いつつも、もう11回目を迎えたこの映画考察。
気づけば、ぽっぽブログの人気記事上位が映画考察で占められつつあります。
雑談漫画のブログだったはずなのに!!何時の間にこんなことに!?
という苦悩(?)の中、今回ご紹介する映画は・・・
タイム・ハンターズ(Fort Ross)」です。

いつものように作品情報から。

タイム・ハンターズ
原題:Fort Ross(英語名)
ジャンル:アクション
製作国:ロシア
公開年:2014年
監督:ユーリー・モロズ

概要:アメリカとロシアの歴史をレポートするよう命じられたテレビ記者のディミトリが取材の下調べ中、自分そっくりの似顔絵が同封されている密書を発見する。この事でロス砦に興味を持ったディミトリは、現地を取材すべくサンフランシスコへ渡る。そこで、知らないうちに自分のスマートフォンにインストールされていた謎のアプリを起動すると、19世紀にタイムスリップできることに気づく。しかし、取材気分でタイムスリップした過去で海賊に大切なスマートフォンを奪われてしまう。スマートフォンを奪い返し、元の世界へ戻るために19世紀の海賊たちと戦うことになってしまう。

はい!また借りてしまいました!
タイム・リーパーズタイム・ルーパータイムシャッフルに続く「タイムなんちゃらシリーズ」!
って・・・まあ、勝手にシリーズとか言っちゃってますけど、全4作品の間に何の関係性もないんですけどね。
そもそも、タイムなんちゃらってなっているのは和名だけの話で、原題でもタイムってついてるのタイム・ルーパーとタイムシャッフルの2つだけです。

タイム・リーパーズ(原題:COLLIDER)
タイム・ルーパー(原題:Time Again)
タイムシャッフル(原題:Time Lapse)
タイム・ハンターズ(原題:Fort Ross(英語名))

今まで私が借りてきたタイムなんちゃらに対するおすすめ度の平均は「★★」ですからね・・・
今までの流れから行くとあまり期待は持てません。
でも・・・時間が関係する作品好きなんですもん!!
今回こそは!と勇む私の「タイム・ハンターズ」に対するおすすめ度は・・・

おすすめ度(5段階):★★

・・・やっぱりね。
見事に平均点ですね。
あはは・・・これがタイムなんちゃらシリーズの実力です。
いや・・・見始めの段階では、これは結構期待が持てるんじゃ!?って思ったんですよ?
っていうのも、この映画、低予算映画じゃないっぽいんですよね。見た感じが。
しかも、これまでの3作品とは明らかに異なる毛色!
大抵時間が関係するストーリーの場合ってサスペンス調ですが、これは王道アクション調です。
私的にはドキドキせずに安心してみていられる系ですね。
言い換えるならば、「絶対に重要人物が死んだりする気がしない雰囲気」ってやつです!
もしかすると、面白いんじゃ!って思って観ていたのですけど・・・ね・・・

といったわけで、期待感もなく考察に移りましょう。

ここからはネタバレを含みますので、これから見る予定がある人は「タイム・ハンターズ」を見終えてからにしてくださいね!

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<以下ネタバレを含みます>

登場人物

テレビ記者:ディミトリ・クリモフ
カメラマン:フィーマ
音響担当:マルゴ
ロス砦の分隊長:サヴァリシン・ディミトリ中尉
スペイン布教団の長:アボット神父
アボット神父の娘:ルシア

考察・感想(ネタバレ含む)

この映画、なぜ評価が低くなってしまったかと言いますと・・・
映画のターゲットがわからないのです!!

「映画のターゲットがわからない」とはどういうことを言っているのかと言いますと・・・
例えば、綿密に練られたシナリオで観客をあっと驚かせる映画なら、物語の背景や描写などを考察するのが好きな人が好みそうです。
逆に、ストーリーが分かり易く、映像に勢いがある映画なら、深く考えたりせず純粋に映像を楽しみたい人が好みそうです。
この映画はどっちかというと後者です。

・・・後者のはずなんですが、かなりストーリーが分かりづらいんですよね。
いや・・・もしかするとロシアの人や日本人でも歴史的な教養が深い人だったらすんなりと入ってくるのでしょうか。

突然1825年のペテルブルクのシーンが挿入されたり、1820年のロス砦にスペイン兵が訪問してきたり、急にデカブリストの乱の話が出てきたりとロシアの歴史を知らない人にはかなり厳しいストーリーなのです。
しかも、それらに関する説明は映画中にないのですよね・・・
よって、映画的には頭を空っぽにして楽しめと言わんばかりのご都合主義系ストーリーでアクション満載なのに、前提知識(歴史的知識)なくしては意味がさっぱりわからない・・・
考察好きの人にしてみると、退屈なストーリー展開で、頭をからっぽにして楽しみたい人にとっては面倒過ぎる世界背景・・・
一体どういった人にならしっくり来るのか・・・

そんなわけで、ロシア史を全く知らない無教養の私が頭をからっぽにして楽しもうと観た結果、最後まで観ても結局何の話なのかさっぱりわからずに終わるという凄惨な結果になってしまったわけです。
酷いよ!!インディー・ジョーンズ的な冒険活劇を期待して観てたのに!!

っていうわけで、この映画をしっかりと理解するため、ロシアの歴史についての前提知識を得ておく必要があります。
じゃあ、とりあえず皆さんはWikiなどでしっかり調べてください!!
・・・っていうのは酷すぎる上、歴史に興味が無い人からすると歴史的考察は小難しい表現が多すぎてうんざりする(偏見!!)ので可能な限り簡単に説明します。

各シーンとそれに関連するロシアの歴史

まず、最初に出てくる1825年ペテルブルクのシーン。
1825年というのは「デカブリストの乱」というロシア初の武装蜂起が起こった年です。
デカブリストの乱というのはロシアにあった専制政治と農奴制の廃止を目的としたクーデターで、「ロシア革命の始まり」とも言われています。
尚、ペテルブルクというのはデカブリストの乱の蜂起地です。
さらに、このシーンで登場するK・F・ルイレーエフと言うのはデカブリストの乱の重要人物(首謀者の1人)なのです。
次のシーンで登場するロス砦ですが、ここはK・F・ルイレーエフが当時勤務していた「露米会社」の重要地です。
露米会社というのは、ペテルブルクを本拠地とするロシアの国策会社です。
アラスカの植民地経営と極東・北太平洋における貿易を目的として設立されています。
ロス砦というのはアラスカの領有権の象徴でもあり、極東・北太平洋の貿易基地でもあります。
しかし、ロス砦を含むロシアが領有権を主張していたアラスカは1867年にアメリカが買収(映画中でディミトリは二束三文でと言っています)しています。
もしも、ロシアがアラスカをアメリカに売却しなければ未だにアメリカ大陸の一部をロシアが所有していたことになります。

映画の主人公であるディミトリの目的が「現代でもアラスカをロシア領のままにしておくこと」だったため、アラスカ領有権のキーとなったロス砦に焦点が当てられていたのでしょう。

専制政治
一部の支配者が思いのままに国家を操ることが可能な独裁体制
農奴制
農民は自分が耕す土地に縛られ、土地に付くおまけとして扱われる制度

・・・すでに結構長い説明になってますね。

さて・・・では、ディミトリ達がタイムスリップして成し遂げたかったことはなんなのでしょうか。
明言していたわけではないですが(そのせいで映画を見終わった後、何の話だったの?ってなっちゃったんですけど)、恐らくアラスカの領有権をロシアに手放させないようにしたかったのではないでしょうか。

勝手な想像ですが、ディミトリたちの目的はこういうことじゃないでしょうか。
ロス砦は露米会社の重要拠点です。
この事から、

  • ロス砦を海賊の襲撃から守ることで周辺地域への影響力維持
  • ルイレーエフさんにアラスカ領有の重要性を進言することで売却させない
  • 農奴を解放し、アラスカに移住させることで人手不足を解消し、露米会社の経営状況を改善する

これらによって、過去を変えよう(アラスカをロシアのもののままにしよう)と試みていたのではないでしょうか。

しかしながら、ディミトリ達の健闘もむなしくそうはなりません。
映画の結末としては、「歴史はさっぱり変わらないけど、ディミトリ達が過去にタイムスリップしたことが原因でデカブリストの乱(ロシア革命)が起こった」ということになっているようです。
「モスクワ時間矯正サービス社」の人が「別々の場所で起こった出来事には深い繋がりがあって、歴史を写す鏡だ」的なことを言ってました。
言い換えるならば、「別々の場所で起こった出来事」=「過去と未来の出来事」とすると、未来の行動が過去の偉業に関係して、歴史が作られていると解釈することも出来ます。
そういった過去と未来の繋がりを作っているのが「モスクワ時間矯正サービス社」なのでしょう。
・・・多分ですけど。

さて、駆け足で映画全体の考察をしてしまいましたが、この映画にはまだ謎が残っています。
30:40付近でディミトリ中尉が「元の場所に戻れ」というシーンがあるんですが・・・
その直前に画面に映るたばこを吸っている男って「モスクワ時間矯正サービス社」の人なんですよね!
これは何を意味していたのでしょうか。

もしかすると、ディミトリ中尉がディミトリをあっさり信じたのは予め「モスクワ時間矯正サービス社」の人がディミトリ中尉と接触していたからなのかもしれません。
最初は疑っていたディミトリ中尉ですが、実際にディミトリと出会い、未来のロシアの話を聞いたことで革命を決意し、本国でルイレーエフを説得したのかもしれません。
そして、1825年にルイレーエフが自らディミトリから密書を受け取ることでディミトリ中尉の話を確信し、デカブリストの乱(ロシア革命)を決意した、と、そんな流れなのかもしれません。
実際、ディミトリから密書を受け取るシーンでルイレーエフが「ディミトリ中尉から話は聞いている」と言っていますしね。
幾らなんでも、ディミトリから密書を受け取ってすぐクーデターを起こせるわけ無いですから、そんな影のやりとりがあっても不思議ではないかもしれません。
そうなると、1820年6月14日の記録(ディミトリ達の記録)だけなくなっていたのも、「時間矯正サービス社」の人が未来からの関与を隠すため、1820年にタイムスリップしたとき、密かに行っていたのかもしれませんね。

最後に・・・

しかし・・・相当歴史に詳しくないと全くわからない映画です・・・
少なくても私にはさっぱりさっぱりでした。
そういった点を踏まえて「★★」の評価なんですよねぇ。
だって、そういう歴史背景がわからないと映画の顛末が全くの意味不明になっちゃうんですもん。

さて・・・この考察を書くにあたって色々とロシアやカリフォルニアの事を調べたので最後にさらっと書いておきますね。
これを読むと、映画中の描写が多少は理解できるかもしれませんよ!

と言った感じで考察終了ですが・・・最初から海外向けに作った映画ではなかったのかもしれませんね。
以上です!

おまけ知識

露米会社
ロシアの国策会社。アラスカの植民地経営と極東・北太平洋における貿易を目的として設立。
毛皮の貿易が収入源でペテルブルクが本拠地。
毛皮動物の乱獲などにより、厳しい経営が続いていたことと、クリミア戦争を発端とした露英間の対立などもあり、本国から遠く離れているため補給も防衛もままならないアラスカに対するイギリスの攻撃を恐れたロシアはアメリカに売却した。
(イギリスに攻撃され占領されてしまえば、ただアラスカを失うだけになってしまうため)
このことで露米会社はその権益を失っている。
カリフォルニア スペイン布教団(アボット神父やルシア達)
スペインはカリフォルニアの中部と南部の海岸沿いに領有権を主張する目的でカトリック伝道所を設立していた。
ロシアはカリフォルニアの北部から徐々に支配地を拡大し、スペイン・メキシコ間の戦争の混乱に乗じて、露米会社がロス砦を設立していた。
つまり、ロス砦はロシア領とスペイン領の境目にあったことになる。
アラスカのその後
アラスカをロシアから買収した当時、アメリカ国内ではその買収に対して批判が多かった。
ところがその後、各地で金鉱脈が次々に見つかり、アラスカはゴールドラッシュに沸くこととなった。
そのため、ロシアがこの地を確保し続けていたとすると後の財政難を逃れていたかもしれない。

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