砂上の法廷を観た感想と評価:映画考察

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皆さんこんにちは。
今年も大分残りが少なくなってきましたね。伊達あずさです。

そんな哀愁漂うこの時期に紹介する映画は・・・
砂上の法廷(The Whole Truth)」です。

いつもの様に作品情報から。

砂上の法廷
原題:The Whole Truth
ジャンル:ミステリー
製作国:アメリカ
公開年:2016年
監督:コートニー・ハント

概要:主人公ラムゼイは父親殺しの容疑者マイクの弁護を担当していた。弁護人であるラムゼイにとって状況は最悪、凶器にはマイクの指紋が残されており、マイクは犯行を既に自供していた。通常、敗色が強いこの状況であれば素直に罪を認めた上で情状酌量を求める所だが、ラムゼイにはマイクが刑務所行きになることをどうしても防がなければならない特別な理由があった・・・

マトリックスやスピードなどで有名なキアヌ・リーブスが主演の映画ですよ!
キアヌ・リーブスって当然大物俳優に属する人なのでしょうけど、個人的にはなんとなく地味なイメージなのですよね。
そんなキアヌ・リーブスはハリウッドスターとは思えないような質素な生活を送っているという話で、そんな私生活の質素さを私は敏感に感じ取っているのでしょうか。
もちろん、地味だから俳優としてダメっていうことではないですよ!

そんな、キアヌ・リーブスも登場する「砂上の法廷」に対するおすすめ度は・・・

おすすめ度(5段階):★★★

パッケージも地味ながら、話の展開も全体的に地味ですが、特におかしなところもなく、ちゃんと話にオチもついていて、悪くはない作品です。
まあでも・・・悪くはない・・・かな?一応ミステリーらしく、衝撃のラスト(?)的なものが最後に待っているのですが、最後の最後になるまでそのオチに関する伏線も無く、何となくとってつけた感が否めないのですよね。なので、ミステリー感を期待して観るとちょっとがっかりしてしまうかもしれません。
とは言え、展開もスムーズで、話にも気になるような矛盾点もなく、良くまとめられたお話ではあると思います。
まあ・・・そういう作品が相手だと、私の出番はないわけですが・・・

ここからはネタバレを含みますので、これから観る予定がある人は「砂上の法廷」を見終えてからにしてくださいね!

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<以下ネタバレを含みます>

登場人物

主人公:ラムゼイ
ラムゼイのアソシエイト:ジャネル・ブレイディ
被害者:ブーン・ラシター
被告人:マイク・ラシター
被害者の妻であり被告人の母親:ロレッタ・ラシター

考察・感想(ネタバレ含む)

最初に述べたように、この作品には特に気になるような矛盾点もなく比較的すっきりと終ってくれます。
撮影しながら物語が作られていくドラマ(主に洋物)ならまだしも、最初から最後まで決められた時間内で終わる映画において、そんな気になる程の矛盾があるわけないでしょ~って思いがちですが、意外に致命的な矛盾がある映画って多い物なのですよね・・・
なので、気になる矛盾なく最後まで綺麗にまとまっているっていうだけでも物語としての評価は高いです。

しかしながら、そうなってくると何時ものように矛盾点を補完する必要もないので、私の出番はなくなってしまいます。困った!!
なので・・・今回はそんな矛盾が少ない良作ストーリーの中でも私が若干気になった部分に焦点を当てて考察してみたいと思います。

この映画の原題「The Whole Truth」について

日本向けのパッケージでは多くの場合、原題が書かれておらず、邦題だけが書かれているケースが多いのですが、この作品はむしろ邦題の方が小さめに書いてあります。詐欺まがいな邦題や映画の内容に反する様な邦題がつけられるケースも多い中、この原題を大事にしたパッケージはセンスがいいですね!
というのも、この映画においてこの「The Whole Truth」というタイトルには非常に大きい意味が込められていると思うからなのです。

「The Whole Truth(直訳すると全部真実とかかな?)」というのは法廷で証言をする前に宣誓させられる「Do you swear to tell the whole truth and nothing but the truth, so help you God ?」という文言から恐らく来ているのでしょう。
そんな真実が追及されるはずの法廷を描いたこの作品ですが、作中に登場する人物は誰もかれもが嘘ばかりつきます。証人が嘘を言えば、容疑者も嘘をつき、罪状も嘘なら犯人も別・・・と何もかもが嘘という状況ですら滞りなく裁判が完結してしまうという滑稽さが表現されています。
むしろ「The Whole falsehood」な法廷に敢えて「The Whole Truth」という皮肉めいたタイトルをつけることで、判決の迅速さを求める法廷の危うさを作品で訴えているのかもしれません。

しかしながら、「見せかけだけは立派だが、何ら真実に至っていない」この法廷を「砂上の法廷」と表現した邦題もかなり的を射てますね。
近年稀にみる良邦題だと思いますよ!

ブーン殺害の真相について

最終的にブーンを殺害したのは主人公であるラムゼイだったようですが、ラムゼイは何故ブーンを殺害したのでしょうか。
映画のラストを純粋にみると、ロレッタはブーンから日常的に暴行を受けており、それを助けようとラムゼイがブーンを殺害。
しかし、ラムゼイがマイクの弁護中に語っているように、第三者防衛で無罪を勝ち取るのは難しい。そこで、ロレッタが自分を守るためにブーンを殺したということにしようと持ちかけたところで、マイクの邪魔が入り、母を守るためにマイクが身代わりになったという経緯のように見えます。
しかしながら、それも本当のことだったのでしょうか。というか、そもそも本当にブーンはロレッタを虐待していたのでしょうか。
もしかすると、もっと違った真実があるのかもしれません。

確かにブーンはロレッタに対して酷い言葉を投げかけることはあった。しかし、虐待は行われていなかった。
そんな中、自分に優しく接してくれたラムゼイと恋に落ち、不倫関係になる。しかし、ブーンはロレッタがラムゼイと浮気していることに気づいてしまう。
ブーンは自分が妻の浮気に気づいていることをラムゼイにそれとなく語る。ブーンはラムゼイにとって仕事上の師匠だ。ブーンがこれから自分に対してどのような報復を行ってくるのか恐ろしくなってくる。
焦ったラムゼイはロレッタにブーンを殺して一緒になろうと持ちかける。その際、第三者防衛では無罪が勝ち取れない、だから、ブーンによる虐待をでっち上げ、ロレッタが自分の身を守るためにブーンを殺したということにし、自分がそれを弁護すると言ってロレッタを説得する。
更に、ラムゼイは隣の家の少年(アレクサンダー)がロレッタに恋心を抱いていることに気づき、彼を利用することにする。
犯行当日も、自らの体に痣をつけ、まさに身に迫った危険から逃れるべくブーンを殺害したように見せかけた。
しかし、ラムゼイからすれば仮に無罪が勝ち取れなくとも刑務所に入るのはロレッタであって自分ではない。つまり、どう転んでも完全に自分の身を守れる最良の策だった・・・辺りがもしかすると真実だったのかもしれません。

実際の所、アレクサンダーもロレッタが虐待されているところを実際に観たわけではないようですし(ロレッタの声しか聴いてない)、息子のマイクですらロレッタが殴られていたことを知らなかったみたいですからね。
そうなると、この物語の悪は完全に主人公ラムゼイということになりますが・・・それはそれでなかなか斬新なストーリーかもしれません。

しかしながら、やっぱり最初から観直してみても、最後の最後に至るまで、ラムゼイの犯行をほのめかすような仕掛けは見受けられないのですよね。
こういうどんでん返しというのは、今までにそれとは気づかない程度の伏線があった上でやるから面白いわけで、そういった仕掛けもなく、突然降ってわいたように真犯人が出てくると、何だかちょっと冷めてしまいます。
もし、ちゃんとその辺しっかりとした伏線があれば、久しぶりの「★★★★」だったかもな~~~~

「★★★★★」の作品と出会える日はいつになるのやら・・・
以上です。

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