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皆さんこんにちは。
またも、かなり久しぶりに映画を考察する気になった伊達あずさです。
そんなわけで今回紹介する映画は・・・
「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(It)」です。
いつもの様に作品情報から。
IT/イット “それ”が見えたら、終わり。
原題:It
ジャンル:ホラー
製作国:アメリカ
公開年:2017年
監督:アンディ・ムスキエティ
概要:ある雨の日。主人公ビルの弟ジョージーは兄に作ってもらった舟を持って家の外に飛び出した。雨水によって出来た路肩の川に舟を浮かべ、流れゆく舟の速さに驚きながらも必死に舟を追いかけていくジョージー。しかし、舟に見入るあまり路肩に設置されていたハードルに頭をぶつけ、倒れた隙に舟はどんどん先へ行ってしまう。慌てて追いかけたジョージーだったが、舟は不幸にも排水溝へと流されてしまった。舟を失い排水溝の前で途方に暮れるジョージーに、「排水溝の中から」それ(It)は語り掛けてくる・・・
久しぶりの映画考察がミステリーでもサスペンスでもなくホラーという、意外にチャレンジングなものとなってしまいました。
まあ、何時もの様に特に何の前提知識も無く、純粋にパッケージの雰囲気で借りてきてしまっただけなんですけどね!
それにTsutayaさんでの貸し出し本数が比較的多めだったので、そこそこ人気がある作品なんじゃないかな~と・・・ね。
それと、これは観終った後で知ったんですが、この映画の原作はスティーブン・キングさんが書かれた小説みたいなんですよ。
スティーブン・キングさん・・・一体貴方の作品はどれだけ映画化されれば気が済むの!?ちょっと、凄すぎなんですけど!!
ちなみに以前、私が紹介した「ミスト」もスティーブン・キングさん原作の映画です。
そんな、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」に対するおすすめ度は・・・
おすすめ度(5段階):★★
う~ん。ちょっと★★は厳しすぎるような気がしなくもないのですが、★★★とするにはちょっと気になる部分があるんですよね。結構、根本的な部分に。
もし、★半分なんていうものがあるのであれば★2.5とかにしたかもと言った感じです。
ホラーとして観た場合も、洋画ホラーにありがちな直接的描写やびっくり音?みたいなものしかなく、映画を観終った後に怖さが残ったりする感じではありませんでした。そもそも、日本ではあまりピエロって馴染みがないしなぁ・・・恐怖の方向性に文化の違いを感じました。
ここからはネタバレを含みますので、これから観る予定がある人は「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」を見終えてからにしてくださいね!
<以下ネタバレを含みます>
登場人物
主人公:ビル
主人公の弟:ジョージー
踊るピエロ(It):ペニーワイズ
負け犬メンバー1:エディ
負け犬メンバー2:リッチー
負け犬メンバー3:スタンリー
負け犬メンバー4:ベン
負け犬メンバー5:ベバリー
負け犬メンバー6:マイク
悪童のリーダー:ヘンリー・バワーズ
消えた友人:ベティ
消えた悪童:パトリック
考察・感想(ネタバレ含む)
この映画は全体的に観れば、とてもすっきりと話も終わり、ストーリー上に謎めいた部分もありません。
なのでストーリーに関しては特に考察を必要とする部分はなさそうなのですが、作品における重要キャラクターであるペニーワイズの設定にかなり謎めいた部分が残っているのですよね。
というわけで、今回はそんな踊るピエロ・ペニーワイズに焦点を絞って考察してみようと思う次第です!
ペニーワイズとは
この映画でItと表現されている踊るピエロ・ペニーワイズ・・・この映画における重要な悪役キャラクターです。
ビル達の先祖がデリーの町作った時から既に存在し、その頃から定期的(27年周期)に言葉通り住人を食い物にしてきた邪悪な存在らしいです。
実際、デリーの町の建設許可証を役所に提出している時の絵にも、ペニーワイズらしきピエロの顔が描かれていました。
もしかして、デリー設立の91人って、人間90人+ペニーワイズで91人だったのかも・・・
ペニーワイズは何故27年周期で人を喰らうのか
デリー設立の91人はペニーワイズの手により全員失踪してしまったみたいなので、デリー設立メンバーはビル達のご先祖様ではないみたいですが、それにもかかわらず、デリーの町が今もあるという事は、初期メンバー失踪後もデリーに移住してきた人達が居たという事になります。ですが、ひょっとすると、次の住人達がやってくるまでには結構長い年月がかかっていたのかも?
どういった経緯でペニーワイズがデリーの住人達を食い物にしようと思ったのかは分かりませんが、ペニーワイズにとってデリーの人を食べる事に何らかの必要性(楽しみ程度のものだとしても)があったのであれば、ペニーワイズにとってもデリーの町から人が居なくなってしまっては困るのかもしれません。まして、ペニーワイズには井戸の家の地下にある住処から、そうあまり遠くへは行けないという制限もあるみたいですしね。
そこで、ペニーワイズは最初の教訓を活かし、27年周期に人を喰らうことで、デリーに住む人が絶滅してしまわないように自制しているのかもしれません。
1988年に登場したペニーワイズは子供ばかりを狙っていましたが、過去の事件から推測するに別に子供だけしか食べられないわけではなさそうです。
しかし、そうなってくると先に述べたように、ペニーワイズがデリーの町の人口を気にしているのであれば、子供を食するのはあまり得策ではなさそう。
とするならば・・・もしや、27年我慢してでも食べたいくらい、子供の方が美味しいっていうことなのでしょうか。そういう可能性も考えられますね。
しかし、27年という数字の根拠はちょっとわからないな~
この映画の舞台となっているデリーの町は実際に存在するみたいなので、1961年から1988年の人口データがあればな~と思ったんですが、見つけられなかったため、27年というスパンがペニーワイズにどれくらいの食の猶予を与えるのかはちょっとわかりませんでした。
しかし、何で25年とか30年とかキリの良い数字じゃないのでしょうね。まあ、新約聖書が27巻構成だったりするみたいですし、アメリカの人にとっては27もそこまでキリの悪い数字ではないのかも。
ペニーワイズの能力
さて、ここからが本題にして最大の疑問であるペニーワイズの能力について考えてみたいと思います。
というのも、ペニーワイズの能力・・・というか、その使い方にはかなり奇妙な点があるからなのです。
ペニーワイズは神出鬼没で、白昼堂々とその姿を現す事も出来る様です。
しかし、出現できる範囲にはある程度制限があるようで、住処である井戸の家の地下から下水道で繋がっている一定の範囲にしか影響を及ぼせないみたいです。よって、ペニーワイズは人間を捕食するためにどうしても人間の方から自分の住処の近くに来てもらわねばならなかった・・・つまり、ペニーワイズにとって、デリーという町は必要不可欠なものであったはずです。
また、ペニーワイズは相手が最も恐れる姿に変身することができるようで、それは、捕食対象の恐怖心を効果的に煽ることが目的の様です。
確かにペニーワイズはデリーに住む子供達に何かしらの恐怖を植え付けようとかなり時間をかけて動いていた様子が伺えます。
作中で悪い親として描かれていた悪童のリーダーであるヘンリーの父親やベバリーの父親、そして、エディの母親は常におかしなテレビ番組(下水道で子供達を遊ばせましょう!とか、かなりあからさまなことまで言ってましたしね)を観ていました。もしかすると、ペニーワイズはこのテレビ番組を通して、デリーに住む大人達をある種の洗脳状態にしていた可能性があります。
そして、洗脳した親を通して子供達に新たな恐怖心を植え付けていく・・・そんな、非常に手間のかかった手法を取っていたと推測できます。
このようにペニーワイズには大人達を洗脳する能力があった、と考えると、ジョージーが排水溝を覗いていた時、その様子を見ていたおばさんが無関心だったことやベンがヘンリー達に酷いイジメ(っていうか、最早傷害事件だけど)を受けていた際、車で通りかかった人達が助けを無視して通り過ぎて行ったのも、デリーで起こる事件が他の場所の6倍に及ぶのも説明が付けやすいですよね。(未だ失踪中の子供の張り紙の上から新しく失踪した子供の張り紙を警察が貼るぐらいですからね・・・)
さて・・・問題はペニーワイズがこうまでして恐怖にこだわった理由です。
ペニーワイズに1度捕まったにもかかわらず、死ぬことが無かった(ペニーワイズに食べられなかった)ベバリー。その状況からビルは、ペニーワイズは恐怖を抱いていない者を殺す事が出来ないと決定付けていました。ビルの推測が当たっているのならば、ペニーワイズにとって、相手を殺す(食する)ためには恐怖を植え付ける事が必要不可欠だったことになるので、彼が手間をかけて捕食対象に恐怖を植え付けようと行動することにも一見すると矛盾が無いように見えるのですが・・・それはあくまでもペニーワイズが物理的にこの世界に干渉できなかった場合の話なんですよね。
普通に考えてみてください。
自分の手足が得体のしれない化け物に食いちぎられてしまった場合、果たして人は恐怖を感じずにいられるのでしょうか。
もし、それでも恐怖を感じなかったら、生物としてちょっとおかしいですよね。
そうなんです。ペニーワイズはジョージーの手を食いちぎったり、スタンリーの顔に噛みついて怪我を負わせたり、ちゃんと物理的に干渉できちゃってるんですよね。(しかも、ジョージーを捕食しようとした際は恐怖を与えるどころか、和ませて油断させようとしている)
そんなことができるのであれば、わざわざそんな回りくどく恐怖を与えなくても普通に殺せちゃいません?
原作を読んだことが無いので分からないけど、これって本当に原作の設定そのままなのでしょうか・・・(あのスティーブン・キングさんが本当にこんな変な設定にする!?)
どうせなら、ペニーワイズはその土地に住み着く精神的な存在で、物理的にこそ干渉できないけど、人の恐怖を最大限に煽ることで対象を殺し、その精神を食する存在とかであればもっと話が綺麗にまとまるのに・・・物理的なホラー描写を出したいがために映画化する際、部分的に話を書き変えられてしまったような気がしてならない!
とは思いつつも、実際の映画にはペニーワイズが物理干渉してしまっているまごうことなき描写が多々あるため、これらに無理やり理由を付けるとするならば「ビルの推測は外れていて、ペニーワイズは恐怖を感じていない人でも食する事が出来るけど、恐怖を感じた人の方が美味しく食べられる。ベバリーの件は今は美味しく食べられなさそうだったので、一時的に保存しておいた」とかにするしかありません。
でも、それでもまだ説明がつかない描写があるんです。
それは、ペニーワイズがヘンリーを煽って(洗脳して)、ビル達の妨害に向かわせたシーンです。
自分で物理干渉可能なペニーワイズは何故わざわざ親を洗脳してまで恐怖漬けにしてきたヘンリーにその恐怖の対象であったはずの父親を殺させてしまったのでしょうか。ペニーワイズにとって、ヘンリーは既に熟成された餌だったはずです。しかし、ここでヘンリー自身に父親を殺させてしまっては、折角植え付けた恐怖を乗り越えさせてしまうことに他ならないわけですから、みすみす美味しい餌をどぶに捨てるような行為となってしまうんですよね。(洗脳するためには狂気が必要だったのかもしれませんが)
そう考えると、やっぱり「ペニーワイズ自身は物理干渉できない」という設定の方がよっぽどしっくりくるのに・・・それであれば、恐怖を乗り越え、自分の敵と成りうる存在となったビル達をヘンリーを使って物理的に排除しようとしたって理由付けられたのにな~
まあ・・・「ペニーワイズ自身は子供数人の物理攻撃程度であっさり敗退してしまう程度の強さしかないから」という可能性も無きにしもあらずですけど・・・
しかしそれなら、ペニーワイズは良くデリーの初期メンバー91人(90人かも)を瞬殺できましたよね。大人しか居なかっただろうに・・・不思議過ぎる!!
と言ったように、ペニーワイズの能力やその使い方にはあまりにもおかしな点が多すぎて、そこが私の評価を下げてしまったわけなのです。
ただ、「ペニーワイズが物理干渉できない精神的な存在だった」とする私の代替案にすると、精神体であるペニーワイズをビル達がどうやって倒すのか・・・と言う点が物凄く難しくなりそうなので、そういった大人の事情もひょっとしたらあったのかもしれませんけど・・・
自分が描きたいものを盛り込みつつ、ストーリー全体の辻褄を綺麗にあわせるというのはかなり難しいものなのかもしれません。
今回は気になった作中の矛盾を解決するような妙案が浮かばず、問題を上げるに留まってしまいました。
そりゃもちろん、ペニーワイズだって気分で非効率的なことをしないとも限らないわけですが、長い間、そして、物凄く綿密な計画を立てて、デリーの町人を食い物にしてきたペニーワイズが、今回に限ってそんなおかしなことをするっていうのもちょっと都合が良すぎるのですよね・・・
何か上手い解釈ないものかな~悔しい!!
以上です!
おまけ1
登場人物の精神構造にも大分疑問を感じるんですよね。
特にリッチー!井戸の家の中に自分の行方不明チラシがあった程度であんなに取り乱す割に、1人で苦手なピエロの部屋に閉じ込められた時は相当冷静に奥にある箱を開けに行ったりしてました・・・いや、普通、閉じ込められたことに動揺して、扉を何とかして出ようと試みない!?
おまけ2
採石場にあった湖の中やジョージーの部屋のオモチャ(レゴブロック??)としても登場する亀。映画中では物凄く意味深にフィーチャーされる割には結局特に何も無かった・・・
時間の都合上、亀に関する何かがカットされたりとかしてるのでしょうか?だって、「足元に亀がいる!」のセリフと共にカメラが水中に・・・そして、突然全然違うシーンですよ!?さっきのシーンは何だったの!?って物凄く気になっちゃいます。
おまけ3
レインコートを着たジョージー可愛すぎでしょう!!
Studio POPPOのプログラム兼システム担当です。
ウォーキング・デッド大好き!ダリルかっこいいよっ!主食はキノコです。