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皆さんこんにちは。
ゾンビと出会ったら戦うけど、キョンシーからはきっと逃げる伊達あずさです。
そんなわけで今回紹介する映画は・・・
「霊幻道士 こちらキョンシー退治局(Vampire Cleanup Department)」です。
いつもの様に作品情報から。
霊幻道士 こちらキョンシー退治局
原題:Vampire Cleanup Department
ジャンル:アクションホラーコメディ
製作国:香港
公開年:2017年
監督:ヤン・パクウィン、チウ・シンハン
概要:何かとゴミと関係のある家系に生まれた主人公のチョンティンは人気も無い夜道で、すすり泣く少女を見つける。辺りを見回すと、少女の祖父が見知らぬ暴漢に襲われていた。少女を逃がし、少女の祖父を助けるため暴漢に挑んだチョンティンだったが、暴漢に噛みつかれ、意識を失ってしまう。チョンティンが目を覚ますと、そこは自分の家、偶然現場に居合わせていたツォンとジーチャウが助けてくれたらしい。チョンティンを助けてくれた2人の男、そして、チョンティンを襲った暴漢の正体は・・・
何とまさかの霊幻道士!?ラム・チェンインさんが亡くなった後、もう二度とお目にかかることはできないと思っていた霊幻道士の新作です!
Tsutayaさんでこの作品を偶然見かけた時の私の驚きと言ったら、それはもう凄まじい物でした。
しかも、何とこの作品に登場するジーチャウは霊幻道士にもサンコー(チュウサム)役で出演していたチン・シュウホウさん!また、ツォン役には霊幻道士3で偽霊幻道士のミン(マオ)道士を演じていたリチャード・ンさんが出演してるんです!
何と言うかもう、タイトルといい、出演者といい、私の期待は高まるばかりです。
そんな、「霊幻道士 こちらキョンシー退治局」に対するおすすめ度は・・・
おすすめ度(5段階):★★
あ・・・れ・・・?あれだけ期待大だった霊幻道士の最新作が何で微妙に低評価!?
開始早々、何かこう・・・これじゃない感が凄いんです。「これは霊幻道士じゃない」感が半端ないのです!!
この作品の舞台は現代で、初代霊幻道士とは確かに趣が違いますが・・・そういうことだけじゃないんです。(霊幻道士2は現代が舞台でしたしね)
霊幻道士っていうタイトルなのに、霊幻道士感が無いから評価が低くなったの?いや・・・何かそれだけでもないような・・・
ここからはネタバレを含みますので、これから観る予定がある人は「霊幻道士 こちらキョンシー退治局」を見終えてからにしてくださいね!
<以下ネタバレを含みます>
登場人物
主人公:チュン・チョンティン
主人公の師匠:ジーチャウ
VCD局長:ツォン
茅山道教の道士:ゴン道士
武器製作&後方支援担当:クイ
人霊キョンシー:シウハー
凶悪キョンシー:牛尾村地主
VCDのライバル:チュウ刑事
考察・感想(ネタバレ含む)
霊幻道士 こちらキョンシー退治局も、前作の霊幻道士同様、非常に分かり易いストーリーになっています。
なので、当然のように謎めいた部分はなく、特に深い考察が必要なところも無いことから、今回は感想100%でお届けします!
さて、先に述べたように個人的には非常に期待度が高かった「霊幻道士」というタイトルを受け継いだこの作品が、何故故に★★なんていう評価になってしまったのか!
それは霊幻道士のジャンルである「アクション・ホラー・コメディ」さが全体的に欠如していたからなのです。
アクションの欠如
前作・霊幻道士では、ラム・チェンインさん演じる主人公のカウ(チェン)道士はもちろん、本作にも登場しているチン・シュウホウ演じる弟子のサンコーも非常にスピード感あふれるアクションを行っていました。
そもそも、ラム・チェンインさんは武術の達人で、かのブルース・リーにも認められたほどの人です。数々のアクション(功夫)映画にも出演していて、そのアクション性能は折り紙付きなのです。
しかし、本作にも霊幻道士でラム・チェンインさんと共に華麗なアクションを見せてくれたチン・シュウホウさんが出演しているわけですから、きっと凄いアクションを見せてくれるはず・・・と、思っていたのですが。どういうわけか、全然華麗じゃない!何だか凄く遅い!
っていうか、そもそも霊幻道士なのにキョンシーとの戦闘シーンが極端に短いんです。
というのも、本作に登場するキョンシーって最後のものも含めて凄く弱いんですよね・・・
これまでの霊幻道士に登場してきたキョンシーは、道士逹がさまざまな道術を使うも効かず、桃剣は必ず折れ、銭剣をかなりの確率でバラバラにしまうほど強いものでした。
結局、無駄にかっこいい功夫でキョンシーと戦いながら隙を伺い続けた果てに、火で燃やすというのが大体の流れだったわけです。
ですが、本作のキョンシーはほうきに仕込まれた剣で即死・瞬殺されてしまうほど弱いため、アクションシーンがどうしても短くなってしまうのですよね。
それに・・・何と言っても一番納得できないのが道術なんです。
これまで、霊幻道士シリーズの道術と言えば、一見無駄に見える華麗な動作を経て放たれるものでした。これがまた無駄にかっこいいんですよ!!
それが、本作の道術の地味さ加減と言ったら・・・特にVCD(Vampire Cleanup Department)所属の道士であるゴン道士の道術が凄まじくかっこ悪い!
いや、むしろゴン道士って道術使ってたの??
ホラー・コメディの欠如
霊幻道士の凄い所は、基本コメディ路線でありながら、ちゃんと要所要所に緊迫したホラー感が取り入れられていたところなんです。
本作はあれから30年近い月日が流れており、映像技術だって凄まじい進歩を遂げています。さぞかしホラー感も強化されているはず・・・
と、期待していたのですが、これがまったく怖くない!
そもそも、キョンシーの出番が少ないことに加え、本作に登場するキョンシーは弱すぎるため、戦闘シーンに緊迫感もないのですよね。
その上、主人公のチョンティンはキョンシーの毒(ウィルス)に耐性を持っていますからね・・・ドキドキしようがない!
キョンシー出現時の演出も、水中にいたシウハーにチョンティンが遭遇するシーンが唯一ドキドキするかな?っていう程度で、他は至極あっさりと出現するんですよね。
キョンシーは折角人外の存在なのですから、もう少し、意外なところから出現しても良かったんじゃないかな。
次にコメディ性ですが・・・最早、欠如っていうか・・・コメディ要素なんて殆ど無かったような。
チョンティンとシウハーのやり取りに若干のコメディ性があったような気がしなくもありませんが、あれはもうコメディというか別のものだったきがします。
こんな感じで、霊幻道士の重要要素であったはずの、アクション・ホラー・コメディが全体的に減少してしまっているのです。
しかし、欠ける物ばかりでもない
今までの感想からすると、★評価でもおかしくないような感じになってしまっていますが、一応、これまでの霊幻道士にはなかった新しい要素もあるんですよ!それは、ラブロマンス要素です!しかも、キョンシーとの!
確かに前作・霊幻道士にも幽霊(シャンシー)とサンコーのちょっとしたラブロマンス?みたいなのはありましたが、本作のラブロマンスはそんなちょっとしたものではないのです。もう、ラブロマンスこそがメインと言わんばかりの尺の使い方です。キョンシーとの戦闘シーンは、キョンシーとのラブラブシーンに置き換えられてしまっているわけです。
さらに、チョンティンの特徴もこれまでにない新しいものですね。チョンティンはキョンシー化した人間から生まれており、生まれながらにしてキョンシーの毒(ウィルス)に対する耐性を持っています。
そんな特異な状況で生まれたチョンティンの血液は、キョンシーに噛まれてしまった人のキョンシー化を防ぐのはもちろんのこと、既にキョンシーになってしまった人を人霊キョンシーにして、生前の人間性を復活させるなんていうとんでもない使い方まで可能です。
ま~でも、これらの新しい試みが失った3要素を補填するほどの要素だったかと言われると・・・ね・・・
まとめ
とまあ、本作品は霊幻道士の3大要素である、アクション・ホラー・コメディを大きく削減した代わりに、ラブロマンス要素をてんこ盛りにした感じの仕上がりになっています。
でも、霊幻道士の名前に惹かれて本作品を観ようと思った人が、そんなものを望んでいるのか・・・と、聞かれると少なくても私は否!ですね。
しかし、個人的にちょっと疑問なのは、どうして本作は現代を舞台にしてしまったのかなっていう所なんですよね。
霊幻道士2も現代を舞台にしているのですが、ちゃんと現代兵器がキョンシー退治の武器として使用されていたりして、現在の科学力がキョンシーに対抗できるのかという疑問を解消するという意味でそれなりに価値ある設定だったのですよ。(前作より面白くなかったけどね・・・)
しかしながら、VCDがキョンシー退治に使用している武器は、えらく現代感に乏しいのです。
VCDの邪魔をしてくるチュウ刑事率いる現代部隊も、キョンシーに対抗するワクチンを作るとか、酷く遠回りな武器を作り始めるんですよね。
キョンシーって案外弱点が多いので、現代兵器を使えば、倒す手段なんて沢山あるわけで、何もそんな良く分からない抗ウィルス兵器など作らずとも、火炎放射器でも、グレネードランチャーでも、ロケットランチャーでも何でも良かったはずなんです。
そもそも、VCDの装備がいくらなんでも古すぎなんですよね・・・古い武器で戦いたいならなんでわざわざ舞台を現代にしたの~~~全然現代っていう時代設定が活きてないよ!
そんなわけで、霊幻道士というタイトルが付いているからと言って、ラム・チェンインさんが出演していたあの霊幻道士を期待して観てはいけません!
かといって、霊幻道士というタイトルが付いていなければ良いのかと言われると・・・きっと、霊幻道士って付いてなかったら絶対に借りなかっただろうなぁ・・・
次はもう少し本格的な霊幻道士が製作されることを心から祈っています。
以上です!
Studio POPPOのプログラム兼システム担当です。
ウォーキング・デッド大好き!ダリルかっこいいよっ!主食はキノコです。