オリジナルキャラクターを作る能力を失った日本人たち

投稿日:

栁澤です、こんにちは。
今日は世の中を嘆いてみたいと(?)思います。

最近、スマホゲームでも、何のゲームでも、やってみるとなんだか…やたらとやたらと「アマテラス」やら「アーサー王」が出てきませんか?完全オリジナルキャラだけで勝負しているゲームのほうが少ないほどです。その点で言うと騒動を起こしたことはありますが「グランブルー〇ァンタジー」は偉いなぁという感じ。

何故こんなに、過去の偉人やら伝説上の人物をゲームに出すのか…?私的には、答えはひとつ「楽だから」。としか言いようがありません。アマテラスと言えば日本の太陽神にも関わらず、弟への抗議(?)に「引き篭もり」を選んだ変わった神様ですから、キャラを作るにあたっても「すぐ引き篭もろうとする」という性格が自動的に付き、後は活発系にするか、おっとり系にするかとか選んで適当なキャラ絵をお願いすればキャラの出来上がり。アーサー王だと、「王様」で「騎士」であることは揺るがないので、何かと騎士道を語ったり、王たるもの云々と語ったりさせればもうアーサー王。実際の伝説ではアーサー王は男性ですが、ゲーム業界に女性のアーサー王は、どんだけいることか。

これらは決してニーズに応えているわけではありません。現にもう「過去の偉人のゲームは飽きた」とか「またかよ!」と思っている人も少なくないと思います。しかし、どうしてこういう風になってしまったのでしょう?日本の、キャラ作成部門は?楽だから…というのも確かなのですが、もうひとつ大切な理由がありました。

それはもうキャラクターが飽和しているということ。日本は、アニメやらゲームやら漫画文化が花開いてからというもの、無数のキャラクターを生み出してきました。感情表現があまりない無表情な女子といえば?→エヴァの綾波レイ 浮気しまくる彼氏を健気に追いかける女子→うる星やつらのラムちゃん とにかく病んでいるキャラ→言葉様 という感じで、「こんな感じのコンセプトのキャラ」と枠を考えると、必ず先人がいるのが現状です。なので、オリジナルキャラを作っても「覚えてもらえない」というのが、作る側の言い分。主人公の名前すら覚えてもらえないので、ラノベのタイトルには主人公の名前を入れるように推奨していたり、勝手に担当者がタイトルを変えたりする…と、うかがいました(付き合いのある〇ADOKAWAの編集者談)。

ユーザー側からしたら「読んでない小説の主人公まで覚えないよ…」と思うと思いますが…。そういうことで、分かりやすい「個性」をつけようとしても、残っている唯一無二の個性はもう無いので、(まだ)有名じゃないオリジナルキャラに使い古された個性を付けるよりは、すでに有名なアーサー王やアマテラスに個性を付けたほうがマシ、ということだそうなんですが…。

歴史が好きな人からは一言ある…というか100言くらいあるんじゃないだろうか。
そりゃあ、過去の有名人にちょっとエッセンスを足すだけならとても楽です。実は円卓の騎士の誰々は女性で、そのキャラと誰々の不倫の物語…とか、オリジナルで作ろうとしたら「円卓の騎士」という背景もなく、「実は女性」ということも驚いてもらうことは出来ず(そりゃ今できたキャラだから…)、そして「このキャラが不倫!?」という意外性にも驚いてもらうことはできません。全てのオリジナルキャラは自分で自分の背景を作らないといけないから。だけど、過去の偉人に自分の好きな個性をくっつけさせてもらうだけで、最初っから設定を全部使わせてもらえる。楽ですね。でもそれはいいんです。商業だしそれで売れる、コストが減るならそうなるのは仕方ないことだと思います。が、ただの「ぼくがかんがえたれきし」を、フィクション(例:元のアーサー王伝説)の更にフィクション(現在さらに手を加えた、女性のアーサー王が主人公の物語等)だとちゃんと説明せずに世に広めているのが問題だなぁと思います。20年前の私は、桃太郎は知っていてもアーサー王なんて知りませんでしたが、今の子供はアーサー王と言えば女性の騎士王なんだよね?と思っている可能性すらあるかもしれないのが恐ろしい。ちなみにアーサー王は改変されまくる人物として昔から有名(?)らしく、正しいアーサー王の姿を伝えていくための「国際アーサー王学会」が存在しています。

そのせいで、きらりと光るオリジナルキャラクターは生まれてこなくなったような気がしてならないのですよね。高度経済成長期を経て、開拓する場所が何もなくなった日本経済のように、今のキャラクターには開拓する場所が残されていないのも事実ですが、それでも、「ぼくがかんがえたアーサーおう」が50年後も残るでしょうか?一体何人のアーサー王が闇に消えていくのでしょう。今私たちが生きているこの期間はまたしても「失われた〇〇年」とか言われるんじゃないかと思う私です…。(「失われた20年」とは、バブル崩壊後に日本経済が低迷した90年代以降の20年くらいを指します。その頃は大卒内定率が落ち込み、企業もその年代の従業員をごっそり失っています。失っているっていうか最初からその年は採用をしなかったりとか?だそうです。)オリジナルキャラクターが生まれない、生もうとしないのは、何となく失われた20年に似ている気がします。

「懐かしのキャラクター」のようなものが30年後の未来にマスメディア(あるのかなぁ)で配信されたとして、今の「量産偉人ブーム時代」はすぱっと飛ばされて、00年代?に行ってしまいそうだなと思う私です。マクロス7のバサラとかそういう世代でしょうかね?またオリジナルキャラクターが主流の時代がきっといつか来ると思うのですが、その時、今の年代は「失われた〇〇年」になってしまわないか、気になる私でした。

ではではでは!ではでは!

オリジナルキャラクターを作る能力を失った日本人たち_挿絵1
ぽっぽくんの元ネタは…?

蘭丸の閑話をもっと読む
Prev | Next

雑談記事一覧へ

Studio POPPOをフォローしませんか?