LOST MEMORY B7を観た感想と評価:映画考察

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こんにちは!栁澤です。
最近は伊達さんにばかり映画考察を任せていたので、久しぶりになってしまいました。相変わらず考察要らずの映画ばかり担当しています!

そんなわけで今回紹介する映画は・・・
LOST MEMORY B7(BOY 7)」です。

いつもの様に作品情報から。

LOST MEMORY B7
原題:BOY 7
ジャンル:SF
製作国:ドイツ
公開年:2015年
監督:オズギュル・ユルドゥルム

概要:主人公は、真っ暗闇の中で目を覚ます。持っていた懐中電灯を点けると線路が見え、そこが地下鉄の線路の上であることがわかる。線路から駅へと上がると、何故か警官から拘束されそうになってしまう。主人公は自分がなぜここにいるのかも、自分の顔も忘れていて、わけがわからないが、警官は「指名手配犯を発見」と言う。手錠をかけられそうになる寸でのところで逃げ出した主人公。行く当てのない彼は、ズボンのポケットにレストランのショップカードが入っているのを見つけ、行ってみると、どうやら記憶を失う前の自分が来ていたようだ。「店に来た時に君はトイレに行った」という店員の言葉に、手掛かりを求めてトイレに行ってみると、「故障中」で使えないトイレの貯水タンクの中からノートが見つかる。それは、記憶を失う前の主人公が、記憶を失ってしまった自分のために書いておいた「いきさつ」だった。

『メメントを超える』がウリ文句だったこの映画…実際にはメメントとは趣向が全然違うものでした。「SFアクション」に分類する人もいるこの映画は、メメントのような、結末からだんだん始まりへシーンが移っていくものじゃありません。キャッチコピー考えた人はメメントを見たことがあるのだろうか。キューブ商法ならぬメメント商法でしょうか。
この映画は、記憶を失っているところ(時系列的に終わりのほう)からスタートして、回想が入り(記憶を失うまでの顛末を見る)、さてこれからどうする、ってな順番なのです。「結末」から「始まり」に一貫して向かうメメントとは全然違うんですが(◎_◎;)
回想シーンが長い映画ってだけです。謎が解けていく回想は飽きずに観れたし、回想が終わった後の展開もスピーディで、退屈しない映画ではありましたので…

そんな、「LOST MEMORY B7」に対するおすすめ度は・・・

おすすめ度(5段階):★★★

ドキドキハラハラするシーンあり、愛あり、友情あり。メメントっぽいのを期待して観るとガッカリすると思いますが(ジャンルからして違う…)先入観無く観れば楽しめます。この世界の科学技術にツッコミを入れたくなる部分は何か所かありますが、まぁそれはね、サイエンスフィクションだから大目に見ればいいんです…多分!

ここからはネタバレを含みますので、これから観る予定がある人は「LOST MEMORY B7」を見終えてからにしてくださいね!

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<以下ネタバレを含みます>

登場人物

主人公:サム=7号(特技:ハッキング)
ヒロイン:ララ=8号(特技:ピッキング)
主人公のルームメイト:ルイス=6号(特技:スリ)
主人公の指導パートナー:サフィラ(特技:ハッキング)
監督役(悪い奴):イザーク
施設長(良い人):フレーダーセン

考察・感想(ネタバレ含む)

B7って何だろうと思っていたけど原題が「BOY 7」なので、BはBOYのBなのですね。サムはBOYの7号というわけですね。ということはララはG8ですか?主要8か国みたいですな。

この映画のキモは、まず「ララ」の立ち位置ですよね。観進めていくと、「あれ…?このララって…まだ操られてるんじゃぁ?」と観客も気づきます。まぁその直後にララが正体を現すので、「ララって怪しいんじゃないの?」とか疑いつつ見守るという時間が皆無なのが残念ですが…。この、どんでん返しとは呼べない程度の、小でん返しまでで映画が一区切り感がします。なので記憶を失っていて感情皆無になってるはずのララが、「うまく7号を証拠に誘導しろ」とイザークに命令をされたから頑張ってひねり出した(?)脅威の演技力を見てみましょう!( ゚Д゚)

最初にサムとララと出会うのはレストラン「ドリス」の故障したトイレです。床にできた影を見ると、個室は2つあるんだから一応正常に使えるほう(奥)も覗きそうなものなのですが、ララは「故障中」のトイレにまっしぐらなのです。この時のララは「証拠SDカードの在り処を聞き出すまでは警察にサムを渡すなという命令を遂行中」の、なんちゃって正気ララですから、イザークからサムが故障中のトイレに入っていたことを聞いたんでしょう多分。故障中トイレのドアを蹴破り、いかにも「私にだって誰が味方か敵か分かんないのよ!」という風を装ってサムに一旦敵対的な態度をとります。が、「左手を見せて!」と言って、自分と同じ傷(マイクロIDを注入された直後に、本当に従順になっているか試すために根性焼きをする場面がある)があるのを見て、味方と判断(した演技)をします。左手の傷については別に記憶喪失と関係あるかどうかこの時のララにもサムにも分からないはずなのに何故傷を見せろって言ったのかは分かりません…。この時から既によく観てみるとララはなんちゃってララなんですね。

ドリスの店員さんから、(多分)「指名手配犯がいるよー!」と通報されたため、トイレから出た頃にはパトカーが到着していました。サムは馬鹿正直に「警察に追われてるから通してくれ」とか頼んでますが、ララは店員さんを鈍器で殴打(花瓶…?)して昏倒させ、進路を確保して裏口から脱出してフェンスを乗り越え無人のバーにサムを導きます。
手際よすぎ!
「ここはどこ?」というサムに、「バーか何かでしょ」と言うララ。住所も名前も覚えてない、とララもサムと同じ状況であると告げます。
何故サムを見つけたかというと、サムの似顔絵を持っていたからサムを尾行した、とのこと…。その似顔絵はまだララがマイクロIDを注入されて記憶を失う前に描いた絵で、記憶を失った時のために、「これを持ってて」とサムがララに無理やり持っててもらったものです。似顔絵は、サムのノートの1ページを破ったもので、裏には「動画がある。それを警察に持って行けば助かる」と書いてあります。
でも…あんまし…似てない…。この絵だけで「この似顔絵あいつじゃね?」と判断するにはちょっと厳しいような…。ボールペンでノートに描いただけの、色もついてない似顔絵なので。日本人の目には同じに見えるだけなのでしょうか…。
ララは、「ニュースでさんざんやってるわよ」と言いつつ「フレーダーセンの事件についても知りたいくらい」と矛盾したことも言ってます。廃墟かと思ったバーは実は電気が通ってて、ララがリモコンを操作すると液晶テレビが点きます。外から丸見え!!「しゃがんで!窓に近づかないで!」と外から見られることを警戒してたのに、どうしたララ。

テレビを見て、サムは自分がフレーダーセンを殺した容疑者として追われているのだと知ります。が、ララはフレーダーセン宅の防犯カメラにも映ってないし、容疑者ではありません。似顔絵を持ってて、同じ根性焼きの跡があったからとサムを庇うララの行動は、よくよく考えると今んところ納得できるものではありません。やっぱなんちゃって正気ララなんですね。

とまぁ、不自然だらけだけどララが自分と同じ状況の味方だと信じ込んだサムは、一緒に記憶を取り戻そうと「ノート」を読み始めます。「証拠の在り処」を知りたいララは、「どこにあるか分からないの?」と聞きますが、サムも記憶喪失中なので分かるわけありません。というわけで、落ち着いてノートを読んでみると…、サムとララの出会い、ルームメイトのルイスとの出会い、監督役イザークのウザい言動、徐々に打ち解けて惹かれあうサムとララのことなどが書いてあります。が、このあたりのことはララは聞いていて不愉快らしい。なんちゃって正気ララだからですかねぇ…。
そんな若者たちのキャッキャウフフは置いといて、回想が進むにつれ、主人公には「サフィラ」というハッキングの指導者がついたことが分かります(番号は22番)。彼女は、サムをしのぐ凄腕のハッカーで、サムとFPSゲームで勝負した時にサムの操作するキャラクターの操作権限をハッキングで奪い、自爆させて勝ったりする、発想も技術も一流の人です。
更生施設コーポレーションXでは入所している者が何人も記憶喪失になったり、同じ死因で死んだりしていることをララから聞き、実際自分でも「職員に連れていかれた次の日には昨日のことを覚えていない人」を目撃したサムは、サフィラに相談します。サフィラはそれを聞いて、「8号の言う事なんて…」と最初相手にしませんが、サムの真剣な態度を見て「探ってみる」と言い、入所者の個人情報のデータベースに入り込んだ結果、様子がおかしかったり死んだ人のファイルには「マイクロID」とあったと教えてくれます。脳卒中で死んだとされていた「前の」7号のマイクロIDはショートしたと書いてあり、死因は脳卒中で無くて「マイクロIDのショート」とだけ入力されていた、と言います。しかしサフィラはその証拠を持ち出そうとしたことで「マイクロID」を埋め込まれ、最終的に「ショート」させられ殺されます。

回想が進むと、記憶喪失とマイクロID、脳卒中の関係が徐々に明らかになります。マイクロIDを首筋に埋め込むよって、その人の記憶を奪い、従順な性格にして、不都合があればマイクロIDをショートさせて脳卒中に見せかけて殺す。それが、イザークの進めていた「賢い施設の運営」でした。イザークは、儲かるなら入所者を犯罪に加担させることもいとわないという方針です。しかし、フレーダーセンは本当に若者を更生させて世の中のためになる人間にしようとしていたので、イザークとフレーダーセンの間に溝が出来ていたことも判明します。

マイクロIDとは、性格診断の設問から入所者の性格の傾向と同じように行動するように、しかしコーポレーションXの職員(っていうかイザーク?)には従順になるように、記憶をすっかり消して、本人の人格にとって代わるもの、と医者がどこかの偉いさんにプレゼンしていて、それをサムが隠れて動画に撮ったものこそが警察に持って行こうとしていた「証拠」だったということも分かります。

マイクロIDのやばさを知ったサムは、ルイスとララと一緒に施設を逃げ出そうとしますが、ララはサム達と逃げようとしていたまさにその日に「マイクロID」を埋められます。ララを探して勝手に施設内をうろついていたサムもマイクロIDを埋め込まれますが、サムの記憶は奪われることはありませんでした。理由は、小さい頃の事故でサムの頭蓋骨には金属が入っていて、それがマイクロIDの電波を跳ね返しているからというもの…そこからサムの「指導者」としての仮面生活が始まります。(ちなみにルイスも一緒に逃げようとしてたのに、独房に入れられてるだけで、マイクロIDは埋め込まれなかった。)
「指導者」に許されている外出を利用して警察にSDカードを届けようと思う…
というところで、ノートは終わっていました。ここからは、冒頭で目が覚めたシーンからの続きとなります。
「そんだけ?SDカードがなきゃ私たちはお手上げじゃない!」と言うララ。

みなさんお気づきだろうか。ララはサムのように正気を取り戻すことはあり得ないということに…。サムは頭に金属が入ってるから電波の影響を受けないことになっていました。でも、ララは見事に操られてたのです。ショートさせられたら助からないし、生きているならそれは即ちチップの電波が常にララをコントロールしているってことですよね。ここらへんで「あれ?なんでララは正気なの?」と気づいた人も多いかもですね。

サムは「自分の記憶喪失は、チップ(マイクロID)の何らかの異常のせい」と言い、チップを首から無理やり取り出します。幸い頸動脈が危ないような位置に埋め込まれてないので無理にとることが出来ました。(ララにもしてやりゃ良かったのに…)

チップを取り出したサムは、「警察にSDカードを届けようと思う…」から、地下鉄で目を覚ますまでのことを思い出します。外出日はイザークも一緒にお出かけです。外出の目的は、フレーダーセンを失脚させることでした。フレーダーセンの自宅のパソコンに卑猥な画像を忍び込ませるという作戦だったんですが…見る限りその画像たちはそんなに卑猥でもない上、ロリでもない…。ちょこっとセクシー程度。規制が厳しいドイツの映画だからなのかな??記憶探偵の「エロ画像」と同じ意味だとは思いますが…そんな微妙な作戦の前に腹ごしらえに寄ったのが「ドリス」。そこのトイレで、サムはノートを隠します。ついさっきまで書き続けていたノートだったわけですね。「何で故障中のトイレに入ってんだ??」とイザークに不審がられたサムは、ここで根性焼きをやられています。ので、サムに根性焼きの痕があることを知ってる人はイザークだけのはずなんだけど。だから、最初のララの「左手見せて!」は、自分が指導者になった際に根性焼きさせられたという経験からきている発言なのでしょうね。もしサムに根性焼きの痕が無かったらどうするつもりだったのか(;・∀・)

計画実行中に、フレーダーセンが帰宅してきたのでイザークは「今すぐそこを出ろ、計画変更だ」と言い、自ら家に乗り込んでいってフレーダーセンをナイフで刺します。その時に運悪く防犯カメラにバッチリ顔が映ってしまったのが、サムでした。(最初から殺す気だったのか、セクシー画像で失脚させる気だったのかは不明かも…)
サムは計画変更の混乱に乗じて駅(地下鉄)へと全力疾走します。が、首のマイクロIDは発信機の役割もしているらしく(動力はいずこに…)、容易に追跡され、駅構内へ逃げ込むことは出来たものの、イザークにじわじわ追いつかれます。仕方ないので「証拠」をごっくんと飲み込むサム(◎_◎;)胃酸って結構強力なんだけど大丈夫か!

そんなことを気にしていられないサムは、駅の関係者以外立ち入り禁止的な扉を開けて線路上を逃げていきます。一方、サムを見失ったイザークは、駅には部外者がいるため思うように動けないので、駅の外に待機しているメンバーに「7号のチップをショートさせろ!今すぐ!」と指示します。
すると、ばちんと音がして、線路を歩いていたサムは気を失います…、はい。この状態から目が覚めると、記憶のない冒頭のサムの出来上がりになるわけです。

全てを思い出したサムは、なんちゃって正気ララに向かって「チップは自分の体内にある」と言ってしまいます。
と、ここで場面は変わり、駅でサムを見つけられなかったイザークは、マイクロIDを埋め込まずにおいたルイスを拷問してサムが脱走した目的を吐かせ、手下に「我々を信用させて動画の在り処をつきとめろ」と命令します。もちろんその手下とはララですね。ララとサムの会話は筒抜けだったようで、すぐにバーは組織の者に踏み込まれ、サムはまた気を失い、再度目が覚めた時には手術台の上(;´Д`)ぎゃああ!
イザークに、「普通チップがショートしたら30秒で脳卒中を起こすんだが君には独自の防御機能があるようだ。ショートによって記憶が失われた(だけで済んだ)。君の体内にあるSDカードを摘出したら再度マイクロIDを埋め込む。というわけで後は医者に任せる。自首するなりなんなりどうぞ~。幸運を祈ってるよ^^」と言われ、ほかならぬララによって手術室へと運ばれるサム。いくら呼びかけてもララは反応してくれません。かつてのララが「記憶を呼び覚ますには匂いを嗅ぐのが良い」と言っていたのですがララは鼻が悪いらしいし、昔の記憶がよみがえるような匂いがするものを身につけてもいないので、2人の思い出の歌を歌います。
すると、ララがマイクロIDを埋め込まれる前のことを思い出します!おおー…。
しかし2人で逃げ出したことがすぐ発覚して、ララはマイクロIDをショートさせられます!が、猶予が「30秒」あるのが分かっていたので、ナイフでララのマイクロIDを取り出し、助けることに成功します。

イザークは全支配下にある「指導者」たちを操り、サムを抹殺させようとしますが、サフィラ直伝(?)の「操作権限を奪う」技を使い逆に命令を「イザーク抹殺」に書き換えたサムは、まぁ色々とありましたがイザークを抹殺することが出来ました。

証拠のSDカードも警察に提出することができ、フレーダーセン殺害容疑も晴れた(と思う)サム。ラストは、病院で目を覚まし、ララと手をつないで退院。ルイスも無事でした。一躍ヒーローとなったらしい彼らにマスコミがフラッシュを浴びせまくるという終わり方で、完全ハッピーエンドでした。

物語が始まった当初は完全に陰キャラだった主人公は、ラストではもう立派なイケメンになってました!!
これだけハッピーエンドだと気持ちいいですね、細かい点を置いといて。

細かい点

フレーダーセン殺害事件をマスコミが「昨日」と報道していたことがおかしい…。記憶喪失状態の冒頭のサムが「ドリス」を訪れた時、「僕を知ってる?」と聞くサムに店員さんは「2、3時間前にも来てた」と言っています。フレーダーセンが殺害されたのはそのすぐ後なので、フレーダーセン殺害事件がニュースで「さんざん」流れるにはあまりに早すぎることになります。「昨日」がおかしいのか、「2、3時間前」がおかしいのかは分かりませんが…。(DVDで確認しましたが、字幕も吹き替えも店員は「2、3時間前」で、ニュースは「昨日」でした)
ドリスからバーまでは、全力で逃げてきていたのでその道中は確実に数分しか経っていないと思われます。もし2、3時間前というのが2、3日前の誤訳だとしたら…サムは線路の上で寝すぎですね(;・∀・)これも考えにくいです…。
単なる製作側のミスなのか、もしかしたらニュース番組は組織が用意したねつ造番組??2、3時間前に食事して、その後殺害事件起こして、それからニュース番組をねつ造するとはすごい早業!しかしコーポレーションXとは単なる更生施設ではなく、多岐にわたる超技能者集団をかかえた更生施設なので…クリエイター気質の人が数人いればできちゃう?か???
細かいことだしどうでもいいんですけどね(;・∀・)

そしてチップに関してはそれこそツッコミどころ満載ですね(◎_◎;)動力はどうしてるの?とか、ショートしたから何だってんだ、とか、30秒の猶予ってなんだ!とか。頭に金属が入ってたから無事というのも無理が…。でもSFの科学に文句付けるのは野暮というモノですよね。気にしてはいけない。

「ラ」と「う」が似ている上に頻出するので、「~~というララ」とかがゲシュタルト崩壊しました。終わりますm(_ _)m

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