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皆さんこんにちは!
何だか久しぶりの映画考察となってしまった伊達あずさです。
実は私、幅広い意味でのサバイバル映画って好きなんですよね。
文明から隔離された島で生存を試みるサバイバルでも良いですけど、ゾンビの世界を生き抜くサバイバルでもいいし、理不尽な環境で最後の1人になるまで殺しあいをさせられてしまうようなサバイバルでも良いです。
とにかく、過酷な環境を必死に生き抜こうと頑張る人を描いた映画ならなんでも好きです。
そんなわけで今回紹介する映画は・・・
「蝿の王(Load of the flies)」です。
いつもの様に作品情報から。
蝿の王
原題:Load of the flies
ジャンル:ヒューマンドラマ
製作国:アメリカ
公開年:1990年
監督:ハリー・フック
概要:飛行機の墜落事故によって近くの無人島に漂着した24人の少年と1人の大人。しかし、唯一の大人であるベンソン機長は意識不明の重体。そんな絶望的な中でも子ども達はその無邪気さを活かし、時に楽しみながらこのサバイバル生活を送っていく。しかし、救援を呼びこむための狼煙として行っていた焚き火の維持を怠った事が原因で少年達のリーダーラルフと狩猟班のリーダージャック。2派に別れた少年達は文明から隔絶された環境の中、徐々に理性を失って暴走していく。
実は私この映画のことを全く知りませんでした。
ですが、何かバトル・ロワイアルとかクリムゾンの迷宮みたいに生き残りをかけて戦うような映画ないかな~と思って探していた時に、「蝿の王こそ名作!」って誰かが言っていたのをたまたま見かけたために気になっていたのですよね。
行きつけのTSUTAYAさんで貸し出していたので、今回借りてきて見ちゃいました。
そんな、「蝿の王」に対するおすすめ度は・・・
おすすめ度(5段階):★★
・・・あれ、名作だったはずじゃ。
まあ、この映画が何を言わんとしようとしてるのかは分からなくもないのですけど、いまいち踏み込みが浅いと言いますか・・・
全然サバイバル感がないと言いますか・・・
運悪く子どもの喧嘩が悪い方向に発展しちゃっただけだと言いますか・・・
それに、唯一の大人であるベンソン機長の演技があまりにも不自然って言いますか・・・
監督の描きたいところだけ描きたい感がひしひしと伝わると言いますか・・・(本編の前後のストーリーが雑)
そんな感じで私にはあまり合わない映画でしたのでこんな感じの評価になってしまいました。
ここからはネタバレを含みますので、これから観る予定がある人は「蝿の王」を見終えてからにしてくださいね!
<以下ネタバレを含みます>
登場人物
文明派リーダー:ラルフ
野生派リーダー:ジャック
老眼鏡の少年:ピギー(アダ名?)
ベンソン機長が好きだった最初の犠牲者:サイモン
考察・感想(ネタバレ含む)
この映画にでてくる少年達は一応24人ほど、居るはずなのですが、あまりキャラが立ってないのですよね。
おもらしをしてしまったマイク、ジャックの過去話をしている最中に名前だけ上がってくるトニー、洞窟で狂ったベンソン機長を怪物と見間違えたラリー、ジャックの狂宴で最初の豚役になったロジャー、次に怪物役になったビリーと、名前だけが分かる人も居ますが、ほとんどは名前すらわからないままです。
さて、この映画で描かれているのは、文明という枷から解き放たれた少年達が人間本来が持つ闇の野生を解き放っていくというお話らしいのですが、何となく釈然としない物があるのです。
まず、少年たちを野生へと戻していくサバイバル環境なんですが、あまりにも恵まれすぎている気がするのですよね。
こんな少年たちが突然、無人島に放り出された割には、食べ物や飲み物に困っている様な描写は一つもありません。
一度嵐がやってきたりもしますが、特に被害もなくやり過ごせていたりします。
挙句の果てには、生き抜くための仕事もせず、この島での生活をエンジョイし始める始末。
最初は救援が来るか不安がっていた子も、それまでの不安は何処へやら、いつの間にかにジャックら野生派に組し、当たり前のように島で生活を初めます。
この映画では不幸にして2人の少年が死に至りますが、明確な殺意をもって殺されたというよりは、事故に近い雰囲気です。
よって、サバイバル環境によって追い詰められたから、残虐な行為に走ったとはとても思えないのですよね。
どちらかと言うと、理性が未発達な状態の子ども達が、大人達による監視下から解き放たれ、本能の赴くままに成長した場合、どこまで残虐になれるかというお話になってしまっているような気がします。
簡単に言ってしまうと、いじめ映画なんですよね・・・
確かに文明社会において、ここまで暴力的ないじめに発展することはまずないかもしれません。
しかし、この映画で起こっているようなことは、私達の身近な環境にでも数多く存在するでしょう。
人は数が集まれば意見が別れ派閥ができ、派閥同士は対立し、互いに攻撃し合います。
この映画はその様子を顕著な形にした映画だといえるでしょう。
しかし・・・肝心のサバイバル生活があまりに楽すぎるために、何ら少年たちが追い込まれている感が伝わってこず、純粋に子ども達の本性が邪悪だっただけに見えてしまうのですよね。
なんかもっとこう、生きるか死ぬかの極限状態に追い込まれた少年たちが、生き抜き方による意見の違いから対立し、殺し合いに発展するというお話を期待してたのですけどね・・・
単に多数派であるジャック達が少数派であるラルフ達を寄ってたかっていじめたというお話にしか見えないのです。
何年もこの島で過ごしたとかならまだしも、あまりにも簡単に、且つ、短期間で野生に戻りすぎでしょうみんな!!
ということで、震災時ですら、理性的に動く様な日本人に生まれた私には理解し難いストーリー展開だったため、このような低い評価となってしまいました。
何度も言いますが、本当に全編通してサバイバル感ゼロなんですよね・・・
それと、別に無駄なものが1つもないことが良いとはいいませんが、ベンソン機長の件って本当に必要だったのでしょうか・・・
そもそも、ベンソン機長ってどうしてあんな風におかしくなっちゃったの?
物理的な損傷のせいでおかしくなったにしては、肉体的に元気だったし、異常行動が多すぎて、どうやったらあんな状態になるのか逆に気になってしまいました。
ベンソン機長の存在が、見えない何か(蝿の王)に怯えるジャック達の暴走のきっかけになったわけですが、別に都合よく(不自然に)異常行動をするベンソン機長でなくても良かったような・・・
あ~次はもっと、サバイバル感がある映画を観たいです!
以上です!
Studio POPPOのプログラム兼システム担当です。
ウォーキング・デッド大好き!ダリルかっこいいよっ!主食はキノコです。