~吉備津の釜~蘭丸と「雨月物語」をつまみ読みする回

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こんにちは!栁澤蘭丸です。

今日も雨月物語をなんとなく現代語訳してお送りいたしまする。
「吉備津の釜」は、三巻に収録されている話で、「仏法僧」の次のお話です。

吉備の国に、井沢庄太夫という人が住んでいました。庄太夫の家は、没落してしまった元武家で、現在はお百姓をしてくらしていました。
ここんちの息子の正太郎はイケメンでしたが、チャラ男でした。女性をとっかえひっかえしていて全く落ち着く気配がなかったので、父の庄太夫は「美人で良い妻を貰うと落ち着くんじゃ?」と考えて、嫁募集をすると、ある人が仲人をするといい、吉備津神社の神主の娘さんが美人で結婚相手募集中だと教えてくれました。「その娘さんは、親に良く尽くす美人で、家柄も由緒正しく、琴も上手、和歌も上手なんですよ。この結婚はあなたの家に良い結果をもたらすでしょう!」と勧められましたが、庄太夫は「でもうちは、元・武家とはいえ、今はただの百姓だし…先方が納得しないでしょう」と言って遠慮しました。仲人は「いやいや!謙遜することないですよ。私がうまく話をまとめてみせましょう」と、先方に話を持って行きました。今でいう見合いババア的な感じですかね?
神主の家に話を持って行くと、庄太夫の心配は杞憂。娘の両親は普通に喜びました。「うちの子、もう17歳ですから、ちょっと焦り気味に縁談を探してたんです。いい日を選んで、結納しちゃいましょ!!」と。ちなみに娘さんの名前は磯良(いそら)さんです。17歳だと焦られてしまうんですね…現代だとあと10年以上結婚で焦ることなんてないのに(;’∀’)
というわけで、うまいこと両家の思惑が合致したので正太郎と磯良の縁談が進められるわけなんですが、磯良の家は神主の家。吉兆を占う神事が行われました。
吉備津神社で吉兆を占いたい時は「御釜祓い」という神事を行うことになっていました。釜にお湯を沸かした時、吉兆ならば、牛が鳴くように大きな音が釜からなるのですが、凶兆の場合はうんともすんとも鳴らない、という仕組み。
縁談に関して、この吉備津神社の釜はどうなったかというと…まぁ。鳴りません。鳴らないからお話になるんでしょうし!!
神主(磯良の父)は「これはよくないのでは…」と言いますが、妻(磯良の母)は、「今さら、白紙に戻すなんてとんでもない。釜が鳴らなかったのは神事に携わった神職の中にろくでもない人が混ざっていたからに違いありません。磯良もお相手がイケメンとどこからか聞いて楽しみにしていますし、向こうのお家は武家なんですから断ったりしたら…」とかなり強引に正太郎との縁談を推してきました。妻の熱意に負けて、神主は「そこまで言うならそう…かなぁ…」と、納得(?)してしまいます。
というわけで磯良はお嫁に行きました。よくできた娘さんなので、正太郎の家では大歓迎、大喜びだったのですが、生来の浮気性の正太郎はそのうちに浮気して、どっかの遊女のところから帰ってこなくなってしまいました。やっぱしねぇ。
それでも健気に待っていた磯良。見かねた庄太夫は、放蕩息子を監禁します!!正太郎は遊女に会いたい一心で磯良に「もうあの女とは別れたいんだけど、他に身よりもなくて、俺と別れたらまたあやしい水商売で生きていくしかないと思う。さすがにかわいそうだから、いくらか渡したいんだけど、俺は監禁されちゃってるから、お前、お金工面してくれない?」と持ち掛けます。どう考えても逃げ出すに決まってるこの提案なのですが、箱入り娘の磯良は「それなら何とかします!」と、自分の嫁入り道具などを売り払い、正太郎にお金を渡してあげてしまうのです…。
すると正太郎はどうするか。予想通りですがお金を持って、遊女と一緒に逃げ出しました。これには流石の健気な磯良も寝込んでしまいます…。そして、しばらくした後、衰弱して死んでしまいました…(。´Д⊂)
その頃の正太郎は、遊女と逃避行中。吉備の国(岡山、広島あたり)から、京へ行こうとしていました。途中に遊女の親戚がいたので、休憩のためにその家に留まっていたのですが…。
遊女の具合が悪くなり、回復することなく死んでしまいました。磯良が亡くなって、すぐのことでした。悲しみに暮れる正太郎は遊女のお墓を作り、お参りをしては悲しんでいたのですが、遊女のお墓の隣に新しくお墓が作られたのに気付きます。そのお墓には若い女性がお参りしていました。(よせばいいのに)正太郎はその女性に話しかけ、「あなたにも悲しい出来事があったんですね。一緒に悲しみを分かち合いませんか?」とか言います。女性が「私は代理でこのお墓にお参りしています。このお墓は、私が仕えていた旦那様のお墓です。美しい奥様がいるのですが、悲しみのあまり具合を悪くしてしまったので私が代わりにお参りに来ているんです。ああ、かわいそうな奥様」…と言うので、その「美しい奥様」に興味アリアリの正太郎は「その奥様と私、境遇がそっくり(?)なので一緒に悲しみ、故人を忍びたい!」と女性にお願いします。
普通なら「何この男…」ってなるところじゃないの?って感じですが、女性はすんなりと屋敷に案内してくれちゃいます。そして奥様と正太郎と引き合わせてくれるのですが…床に伏せっている奥様は、正太郎の妻「磯良」の顔をしていたのです!!
逃げ帰る正太郎。「あれ、まさか磯良はこの世のものではないのでは…」と思って陰陽師に見てもらうと、陰陽師曰く「確かにあなたの妻は死んでます。今から7日前に亡くなったので、あと42日間、物忌みをしてください。そしたら助かります。たくさんお札をあげるからこれでも貼っといて」だそう。42+7日で、49日間守られていたら助かるという寸法のようです。
というわけで正太郎は家の壁にぐるっとお札を貼って、引き篭もります。夜になると、怨霊の声がします…「こんなところに、神聖なお札が貼ってある…」「あぁここにもお札が貼ってある…」と家の周りをぐるぐる声が。怖い。
しかし正太郎は耐え抜きました!最後の夜。これが明けたら無罪放免だーという日です。夜が明け始めたのを見た正太郎は、一緒に家にいる遊女の親戚の男性に向かって「ああやっと物忌みが終わる。もうそろそろ出ます。久しぶりに、人の顔が見たい」と言いました。男性も「そうだね。出てきたら?」と安易に言います。
満を持して正太郎が外に出ると!!そこには月がぽっかり。「え?まだ夜が明けてないじゃん…」
正太郎は、怨霊に騙されてしまったんです……。多分マヌーサ的なものをかけられたのでしょう。
親戚の男性が正太郎の悲鳴を聞き、急いで駆けつけますが、そこには正太郎の髷だけが残されていて、あたりは血まみれでした。このお話の教訓はね、神事の結果を無視するとひどい目に遭うってことだよ!!

…っていう話なんですが、本当にその教訓で合っているのでしょうか!?!?今の私達だったらそうは思わないところなんですけどね、雨月物語的には、神事の結果は絶対ですよっていう感じなのです。
磯良さんは一切悪くない。正太郎のところに嫁に来なければ良かっただけだったのに!あー、男が浮気性かどうかの占いだったのだろうか。私としては教訓は「不誠実なことしてるとひどい目に遭うよ」って感じにしたいけど💧

ではまた次回の雨月物語で…。
栁澤でした!

~吉備津の釜~蘭丸と「雨月物語」をつまみ読みする回_挿絵1

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