蘭丸と「雨月物語」をつまみ読みする回

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こんにちは!栁澤蘭丸です。

「雨月物語」ってご存知でしょうか。なんていうか…「古文の授業で出てきそう」ってかんじ?
「東海道中膝栗毛」とか「徒然草」とかに比べると「なーにそれ?」という知名度の本なのですが…これは、江戸時代に書かれた「怪談本」。作者は「上田秋成」。9つの物語からなる本で、オムニバス形式になっていますが、実は読む順番にも意味があり、先の物語が次の物語に関係している…という構造になっているのだとか…。しかし現代人の私にはそこまでのことは感じ取ることが出来なかった!儒教とか国学とか仏教とかそこまで勉強していないし!!雨月物語を読み込みたくなった方はちゃんとした雨月物語の本を買って順番通りに読んでもらえるときっと分かる…ハズ!蘭丸は面白かった(?)順番に紹介していこうと思います…。というのも…第一巻にいきなり日本三大怨霊のひとりであらせられます、崇徳天皇が登場なさるんですゥ(;゚Д゚)うう、は、ハードル高いよぉ…。

なので順番どおりは諦めて三巻から行きたいと思います(´・ω・`)

その前にこの「雨月物語」には、「序」という文章がついています。「はじめに」って感じですかね?この「序」によると、この物語を書いたのは「上田秋成」ですが「剪枝畸人」が書いたことになっています。これは上田秋成のペンネームみたいなものなのですが、「剪枝畸人が書いてたんだよ」ということをさらに「子虚後人」という人が「遊び半分に」伝える形にしてあります。
なんでこんなまどろっこしいのかは…序の内容を見ると、分かるのかもしれません。
「水滸伝を著した羅漢中は、子孫三代に唖児(口がきけない子供)が生まれた。また、源氏物語を記した紫式部は死後に地獄に落ちたそうだ。これは、ありもしない話を書いて、世の中の人を惑わせた(素晴らしい出来すぎて熱中させすぎた)せいだろう。だけど私が書いたこの物語は、誰がどう読んでも嘘の話だし、そんな素晴らしい作品と肩を並べるようなことにはならないだろう…と、剪枝畸人は書いてたよby子虚後人 at遊戯三昧」というのが序の内容です。子虚後人も、上田秋成です。子虚後人というのは「子虚の弟子」という意味で、「子虚」とは古代の中国の漢文集に出てくる、適当なことばかりいう人のこと。後人はその弟子。適当なことばかりいう人の弟子が、遊び半分適当に書いてますーということになります。
羅漢中や紫式部のように、世の中に影響を与えるような作品なわけないじゃないと謙遜したというのが上田秋成の意図だったと思われます。が、同時にペンネームの「剪枝畸人」という名前が示している通り、既に上田秋成は指が他の人より短いというハンデを負っていましたので、この人も羅漢中やら紫式部と同じようにものすごい作品を書いてしまったのでは…と読む方は思わされる仕組みになっているようです。
昔は政権が悪いと天変地異が起こったり、いい作品を書いたら地獄に落ちたり、大変だったんですね…。

というわけでいきなり第三巻「仏法僧」からあらすじを紹介していきます!
主人公は、まだ隠居にはちょっと早い年頃の40代男性。彼は、ある程度働いたら日本中を旅してみたいという老後の夢を持っていました。なので、末っ子息子の作之治を連れて旅に出てみました。三重県あたりの出身だった親子は、京の雅な感じを味わってみたいと思い、文字通りの上京。色々見て回り、関西旅行の最後にはやっぱその当時から日本一の霊場であった「高野山」を見てみたーい!と考えます。しかし今でこそ熊野古道とか一般人が歩いても怒られませんが当時はガチの霊場ですから、本当は仏教に帰依していない人がホイホイと入っていい場所ではありませんでした。おとんは、頭を丸めてはいましたが、別に僧侶というわけではなく、ただのファッション坊主だったのです。そんな気楽な旅人親子は、高野山のお寺などを見て回り、日が暮れて来たので泊めてくれるお寺はないかなと探し始めます。が、どこのお寺も答えは「NO!」…どこもだめなの!?と思った親子が聞いてみると、「高野山は修行するための場所。旅人に宿を貸してはいけない決まりになってる」と言われてしまいます。ふもとに下りるにももう疲れちゃった親子は、霊廟の前の灯籠堂で野宿することに決めるのです…ふぉぉ…もう怖い予感…。
夜が更けると超心細い山の中…しかも霊場。グーグー寝ていいはずがなく、念仏を唱えながら徹夜しようと心に決めた親子は「弘法大師が開いた霊場で、とっても尊い場所なんだ!」とか話してみるも落ち着かない。すると、そこに「ぶっぽーー、ぶっぽーー」と鳥の鳴き声が聞こえました。「何これ!霊場では鳥の鳴き声すら有難いとか!」と感動したお父さんは、一句「とりのねも ひみつのやまの しげみかな」と詠みます。あー、これを書き残したい…と、灯篭の僅かな明かりの下でこの句をメモり、「もう一度聞きたいなぁ」と思っていると、別の物音が聞こえてきました。
「したにーしたーにー」っつって、よくある大名行列みたいな声がします。「えっ」と思っていると、身分の高そうな武士が登場。「殿下」と呼ばれています。灯篭堂の縁側にいた親子は殿下の部下に即見つかってしまったので、無礼にならないように即座に地面に降りて、「ははぁー」の体勢に。
殿下たちは親子を無視して宴を開催。殿下が「紹巴はまだ来ないのか」とか言っています。「紹巴」…そう、この「紹巴」さんは、あの里村紹巴。どの里村紹巴だよって?本能寺の変の前に、明智光秀の「ときはいま」っていう歌に連歌を詠んだ「里村紹巴」のことなんです!親子が生きているのは江戸時代。里村紹巴が生きているわけはないしそもそも「殿下」って呼ばれるべき武士なんてもういないはずであることがやっと分かってきます。
えっ、彼らは幽霊なの…?とやっと気づいて恐れおののく親子。
そこに「ぶっぽーぶっぽー」とまたあの鳥が鳴いたので、殿下は「お、今日はブッポウソウがよく鳴くやん。…おい。そこのおっさん」と、おとんを呼びます。おとん「ひぇッ…(´・ω・`)」
殿下は、「さっき面白い句を詠んでなかった?もっぺん言ってみてよ」と言いますが、おとんは恐ろしくてそれどころじゃなく、「いやもう…何も覚えていません><」とぶるぶる。しかし勇気を振り絞って「殿下はどなたであらせられますか?」と聞いてみました。偉いぞ。話が進まないからしょうがないけど!
すると、傍にいた里村紹巴が「ここにいらっしゃるのは豊臣秀次殿下だよ」と答えます。
豊臣秀次…覚えていますか、秀吉の後継者だったのに、跡取りの秀頼が生まれたせいで老害化していた秀吉に切腹させられてしまった、秀吉の姉の子…つまりは秀吉と血のつながった甥っ子です。
秀次殿下は「何も覚えてない」ととぼけるおとんに無理やりさっきの句を言わすというパワハラを行い、「なかなかおもろい句やん、誰かこれに続けて何か詠んでよ」と部下に振ります。それをきっかけに、生きた心地のしないおとんを置き去りに宴はまた盛り上がっていくのですが…

雀部淡路(ささべあわじ)という部下が「殿下、そろそろ修羅のお時間です!」と告げます。修羅とは、修羅道のこと。人間が死んだら輪廻転生して行きつく6つの世界があるそうなのですが、その一つが修羅道。ちなみに悪いことをした人が行くのは「畜生道、餓鬼道、地獄道」だそうなので修羅道はいわゆる地獄ではない模様。修羅道には阿修羅がいて、常に争いが起こっているそうな…。
雀部さんの言葉を聞いた秀次は「そうか!石田三成、増田長盛、首洗って待ってろよこんちくしょー!」と表情を変え、周りもバタバタし始めます。っていうか三成も修羅道にいるんだ…。
そんな、打倒三成に毎日燃えているらしい殿下は「あ、この親子もついでに修羅道に連れて行こう、変なところ見られちゃったし…」と言い出します。
「あ、やっぱりそういう展開ですよね…」ってなる親子でしたが、部下たちが「この者達はまだ寿命が尽きていないので修羅道に連れて行くと殺生をしたことになってしまうからだめですよー」と言ってくれたので、一応事なきを得ます。
一応生還した親子。秀次公との話を京の人たちに伝えて、「滅茶苦茶怖かった」と語ったそうな。

…。
やっぱし、物語いっこじゃ、壮大な意味は分からないですね。でも何だろうか、この、「前作の登場人物がちらっと次回作に出てきてワクワク」な感じ。
江戸時代の人も、好きなんですね戦国時代とか関ケ原とか。三成出したら結構売れる感は当時も同じなのか…。評価は180°くらい変わっていそうだけど。

雨月物語はこんな感じで、何か幽霊出てきた~…、でもだから何だったんだろう…?っていう感じの、雰囲気が怖い物語集です(多分)。オチとかは特に気にしたらダメだ。でもね、古文のテストの例文に使われたりすることがあるから、現代語版でも読んでおくのはアリです!ちなみに有名なのは「菊花の約(ちぎり)」。

栁澤蘭丸でした!( ^ω^ ; )

蘭丸と「雨月物語」をつまみ読みする回_挿絵1
トノ、ヘイカはいるけどデンカはまだいないんだよなぁ…。ちなみにヘイカは夢ひよこなのでヘイカ。

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