空耳が生み出した恐怖「あと70円足りません」

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これは私が駅で切符を買おうとした時に実際に起こった出来事です。

駅に着き、切符を買おうと切符販売機に近寄ると、3つ並ぶ販売機のうち一番右端は既に誰かが切符を購入しようと機械を操作していました。空いた販売機に近寄ろうとしたのですが、ここでちょっと困ったことになったのです。
ベビーカーを伴った夫婦が、ちょうど残り2つの販売機の間ぐらいにいて、販売機に並んでいるのか、あるいは並んでいたとしても、どっちの販売機に並んでいるのかイマイチ判断がつきづらい場所でなんだかまごまごしているのです。

普段なら、少し様子を見るところなんですが、その日はちょっと急いでいたため、すっとその夫婦の横を通り真ん中の販売機で切符を買い始めました。

空耳が生み出した恐怖「あと70円足りません」挿絵1

そうすると後ろから

「ならんでんだよ・・・」

ぼそぼそと呟く男の人の声が聞こえたような気がしました。

私は瞬時に、さっきの夫婦の旦那さんが実は販売機に並んでいるつもりで居たのに、私が横入りしたと認識して非難してきたのだと思いました。
内心びくびくしながらも、どうせ怒られるなら切符を買ってからにしてもらおう!と急いで切符を購入しようとすると。

「ならんでんじゃねぇ・・・」

再び私の背後から男の人の声が聞こえてきました。
切符を急いで購入した私は、意を決して後ろを振り返ります。

するとそこには、いかにも怖そうな坊主の旦那さんが・・・

(うわーーこわいよぉぉぉ)

・・・っと、思ったのですが、よく見るとその怖そうな旦那さんは明らかに私の方を見ていません。
しかも、口元に妙な笑みを浮かべて、一番左端の販売機の方を見ています。

そして・・・

「200円しかはいってねーし」

え?200円?どういうこと?
そうつぶやく旦那さんの視線をたどると、そこには販売機の前で一生懸命270円のボタンを押してあたふたしている奥さまが・・・

そして、旦那さんが再度にやにやしながら一言。

「(あと)70円じゃね?」

70円じゃね・・・ななじゅえんじゃね・・・ならんでんじゃねぇ・・・

・・・そういうことでしたか!
その一言で全てを理解した私は足早にその場を立ち去りました。

紛らわしすぎるよーーー!!

今でも、慌てる奥さまをみてにやにやしていた旦那さんの顔が忘れられない私なのでした。

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