「死にたい」と言っている人に「死んでも良いよ」と言うと罪になる?

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どうもこんにちは!栁澤です。

こないだ、ミヤネさんが司会するなんかのテレビを見てました。昔で言う「行列」みたいな感じの番組でした。事件を紹介して、「これは登場人物△△が〇〇っていう罪になった。何故かって言うと実は…!」みたいなノリ。

この中で私が「えーー!マジで!」と思ったのが「自殺したいという強迫観念にかられたボーイフレンドに『死んだほうが楽』と言ったガールフレンドが過失致死罪になった」っていう事件。アメリカのマサチューセッツ州での事件ですので、日本ではありませんが…(日本で起こってたら大騒ぎだろうな…)。確か過失致死だったような。多分。

事件のあらましは、こんな感じ。とある中距離恋愛(数十キロメートル離れたところに住んでた)をしていた高校生の男女がいた。彼氏のほうは心を病んでいて、自分は成功できない、ダメ人間だと思い込んで自殺したいと常々言っていた。彼女は、交際中2年半もの間、彼を励まし続けたがある日励ますのをあきらめ「今のあなたは生きてる方が死ぬよりつらいのかもしれない」と言ってしまった。そしてその数日後(だったかな)彼氏は車の中で一酸化中毒死という明らかな「自殺」をして亡くなった。半年後、彼女が逮捕された。

番組ではここで一旦スタジオで「え~!自殺を止めることを諦めたことで逮捕ー!?」って区切っていました。私もびっくり。んなあほな、そしたら日本だったら逮捕者続出なんじゃないの!?ってならないと番組にならないのでそりゃそうなのですが、後半では彼女の「実はこんなことしてた」っていう行動が紹介されました。

彼女はクラスの中で「広く浅くみんなと仲がいい」という立ち位置の子で、よくある女子のグループのどこにも属さないんだけど、本当は特定の仲良しを作ってキャッキャしたかった、ということが判明します。「彼氏が自殺しそう」という話題でクラスメイトたちが自分をすごく心配してくれることを心地よく感じた彼女。でもこうなってくると彼氏が「自殺するする構ってちゃん」では困る。本当に死んでしまわないと自分も「彼氏が自殺するする言う構ってちゃん」になってしまうのは明白。なので彼女は彼に「自殺しないの?」などと聞くようになっていきます。その一方でクラスメイトには「彼が行方不明になってしまった」と言って、心配してもらっていました。しかし、しまいには「自殺するのが怖い」と言い出してしまう彼氏。彼女は「自殺する人は特に深いこと考えずに死ぬもんだ」と言い、一酸化炭素発生中の車から出て「やっぱり苦しくて死ねない」と電話してきた彼氏に対して「戻りなよ」と言います。結果、彼氏は車に戻って死亡、というのが真相だったそうな。つまり彼女が「車に戻れ」と言わなければ彼は死んでいなかったのだ!と言う事件だったのでした。

ここまで聞いても…「えぇ~…!?」感は漂います。彼氏の「死ぬ死ぬ」というメッセージのせいで彼女は鬱病を発症してしまってますし、こんな状態の彼氏は生きてても確かにつらそうです。彼氏のほうの心の病も治りません。彼氏は彼女に対して「一緒に死んで欲しい」というようなメッセージも送ったりしています。これは共倒れになる予感もするような…。

結果的に彼女は「有罪」で「2年半」より短い程度の実刑判決を受けたんだったかな?「有罪になったってことは、彼が死んだのは彼女のせいということを法廷が認めたってことで、だとしたら2年半って短いのでは」という疑問には、「マサチューセッツ州には安楽死を認める法律があり、『自殺ほう助』は無いため」という理由が説明されてました。自殺ほう助を罪にすると、安楽死させる医師が罪に問われてしまうからですね。彼女は、手を下していないし、言葉のやり取りをしていただけなので「殺人」ではない。過失致死(殺意はなかったけど死なせた)という罪だから軽かった…んだったかなぁ汗 すみません。

じゃあ日本だったらどうなるのでしょうか…日本には安楽死は無いので刑法202条でこんな風に決まっています。

{自殺関与(自殺幇助罪)及び同意殺人(承諾殺人罪)}
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

教唆というのは、知識を与えてそそのかすこと。「唆」はそそのかすって意味です。幇助っていうのは、手を貸すこと。同意殺人については、自分では死ねない人が他人に手を下してもらった時のことなので今回の話には直接関係ないですね。

この「教唆」「幇助」がどの程度だと当てはまるのだろう…ということが気になってきますよね。今の世の中、友達が「死んでしまいたい」と相談してきて参っている、と言うような人も結構いるかもしれません。「いつも今から死ぬとか言ってたから本当に死ぬと思わなかったから、死ぬなら死ねと言ってしまった」とかそんな場合もあるかもしれません。「死にたい」って言われる方だって相当ストレスでしょうからね多分。実際に、マサチューセッツ州の彼女は鬱病になってしまいました。

今まさに死にたい!と言う人が目の前にいて、「でも死ぬ道具が無い。死ねる道具を貸してほしい」と言ってきた場合に貸してしまったらこれはアウト。「特定の」個人が死ぬようにしちゃうのが「幇助」やら「教唆」です。なのでインターネットの不特定多数に対して「楽に死ぬにはこういうふうにすると良い」とか教えても、「特定の」人に向けて言っていないのでこれはセーフ。

でもまあ上記は分かりやすい話です。問題は、彼女は彼に自殺に対する知識などを与えたわけじゃないし、手も下していない。ただただ、「死ぬべき」と言ってたに尽きるわけなんですが、日本だったらどうなるんでしょう…。

日本で、
A「死にたい」
B「じゃあ死ねばよい」
A「分かった、死ぬ。死ぬ準備した」
B「よし死ねばいい」
A「うーん、今実行しているんだけどやっぱり苦しい…やめようかな」
B「でも死ねばいい」
こんな会話をしたら罪になるのかどうかっていうのが、知りたいところですよね。

実際に日本で自殺教唆罪(刑法202条)が適用されたっていう判例を見てみるともっと壮絶。監禁状態のようにして殴ったり蹴ったり遺書を書かせたりして追い詰めたら相手が自ら命を絶ったという判例があります。(広島高判昭和29年6月30日)

というわけで私が調べた限りでは、心を病んだ友達に「そんな状態で生きているのは死ぬよりつらいだろうから死んだほうが良い場合もあるのかもね」と言うことだけでは罪にはならなそうですけど(内容にもよるけど…)その後追い討ちをかけ続ける、死ぬ方法のアドバイスをするなどしちゃうとグレーになってきてしまうのかなぁ…と言う感じです。

番組では「言葉は凶器となりうるか」という話でしたが…正直なところ、凶器いうと、刃物とか鈍器が思い浮かびますが、言葉ってのは縫い針みたいなもんかなあ?という印象です。縫い針は、チクチクと単純に刺すだけじゃ致命傷を与えることはありませんが、使い方による、と言う感じ?飲ませちゃったり、爪と爪の間に刺すとか、かなりの「わざと感」が無い限りは凶器にはなれないでしょうね。でも、使い方によって立派に人を殺せるようなもの…ってことなんでしょうか。パワハラとかありますしね。

その人に一切触れていない。何も貸していない。ただLINEでやりとりをしていた。それだけのことでも、もしかしたら罪になる場合があるかもしれない…という話でしたが、日本の場合だったらものすごい滅多なことが無い限りはワケが分からないまま逮捕ということにはならないとは思います…、けど、ペンは剣より強しとも言うし…。今使うような意味じゃないけど汗。微妙な話題の時は言葉選びに気を付けられたし!

しかしまぁー、この人さえいなければあの人は自殺しなかった、あの時ああ言われなければ死ぬ気が起こったりはしなかった、ということはざらにあると思いますけど…。うむ…。言葉のせいで死ぬっていうのは、「死んで欲しい」と思わなかった時のほうが起こっている気がしますけどね汗。お見舞いに「空の弁当箱」を贈っただけで配下の有能軍師が自殺しちゃった人とかもいるし。これ曹操の話なんですけど、曹操の真意は実は謎で、「荀彧に滋養のあるものを贈ってあげたぞ~。喜んでるかな?あっ!やばい中身入れ忘れてた…!!中身からっぽだ!!…えっ、荀彧が自殺しちゃった?!」っていう可能性もあるんだそうな…。

ものすごいどうでもいい話で締める蘭丸でした。ではでは!

「死にたい」と言っている人に「死んでも良いよ」と言うと罪になる?_挿絵1
「返答を間違えてデッドエンド」と言う場合も。

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