戦う前の言い訳には理由がある:セルフ・ハンディキャッピング

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人は生きていれば、大小問わず「戦わなくてはならない状況」に追い込まれます。
衆院議員選挙、受験、会社面接、あるいはゲームの大会や友達とのちょっとした議論・・・誰しも少なからずこのような経験ってありますよね?

誰だって、戦うからには勝ちたいものです。
でも、戦うということは当然負けるという結果になることもあります。
負けるのって嫌ですよね?場合によっては恐怖すら感じるかもしれません。

そんな時、皆さんはどのようにして「敗北の恐怖」と戦っていますか?
今日はそんなお話です。

テストの当日になると必ずと言っていいほど耳に入るセリフ・・・

「今日のテスト、全然勉強できなかったよ」

「一夜漬けで山だけは張ったけど、全然自信ないよ」

よく耳にしますよね?
もしかすると、自分の口からもでちゃってるかも・・・

あるいは、いかにも自分より頭が良さそうな人相手に、どうしても自分の意見を言わなければならない場合

「私、頭悪いのでおかしいなことを言ってるかもしれませんが・・・」

と、意見を言う前につい言ってしまったりしませんか?
これを心理学用語で「セルフ・ハンディキャッピング」といいます。

ではなぜ、このように自らを陥れるような発言をしてしまうのでしょうか。
それは、「どっちに転んでも得」だからです。

テストの際、予め「あまり勉強していなかった」と周りに言ったり、自分で思い込んだりすることで、結果が良くなかった場合の理由を「自分の実力から努力不足へすり替えることができる」からです。

本気を出してきちんと取り組んでさえいれば、こんな失敗はしなかった」と。

逆に、もし結果が良かった場合は、「全然努力してないのに、こんな結果が良いなんて私って天才!?」と、自分の実力をより高めることができます。

どうでしょうか。これなら、どっちに転んでも自分の実力は脅かされません。
誰だって、自分の「能力そのものを否定される」のは苦しいですよね。
だから、本能的にそれを避けようと、「セルフ・ハンディキャッピング」を行なってしまうのです。

ですが・・・
彼の有名な「孫子」さんは「孫子の兵法」の中でこう言っています。

「囲師には必ず欠き、窮寇には迫ること勿かれ」

なんだか難しい漢字がいっぱいですね・・・
え~っと・・・要するに

敵を包囲する際は、城壁の隅々まで取り囲まず、敢えて逃げ道を開けておき、敵兵が逃げるチャンスを残すことで、戦いの闘志を鈍らせるように仕向けろ

ってことですね。
つまり、孫子さんは「逃げ道を残しておくと、敵が弱くなるよ」と言っているわけです。

つまりです!
セルフ・ハンディキャッピング」を行うと、自分の中に「失敗した時のための逃げ道」を作っておくことになるので、無意識に戦いの闘志を萎えさせていることになるのです。
これでは、戦いの勝機が減る一方・・・

でもだからといって「セルフ・ハンディキャッピング」を止めましょう!
と、一概には言えないところがあるのですよね。
ハウリング効果の回でも書きましたが、成功に必要なのは自分自身の「やる気」や「創造力」です。
セルフ・ハンディキャッピング」を無理に止めることで、失敗時に深いダメージを負い、それらを失ってしまっては元も子もないのです。

ですので、「セルフ・ハンディキャッピング」を上手く利用しつつ、「上手な負け方」を学ぶことが大切です。
小さい負けを繰り返すことで、少しずつ負けに対する耐性を付けて行き、ここぞという戦いでは「セルフ・ハンディキャッピング」を使わずとも戦える強い意志を養うことが大切です。

かく言う私も、「セルフ・ハンディキャッピング」無しで、自分の実力と向き合うことには恐怖を感じる一人です。
ですので、まるで自分に言い聞かせているような話になっちゃっていますが、もし、私と同じような悩みを抱いている方がいらっしゃったら、今日から一緒に頑張っていきましょうね!

今日の格言
「セルフ・ハンディキャッピング」は毒にも薬にもなる!

戦う前の言い訳には理由がある:セルフ・ハンディキャッピング_挿絵1

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