投稿日:2015年9月23日
皆さんこんにちは!
映画考察の記事は物凄く時間がかかるから疲れるな~と思いつつある伊達あずさです。
さて、そんな私が今回ご紹介する映画は・・・
「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!(The World’s End)」です。
なんかアレですよね。
ちょっと、誰かの必殺技っぽいタイトルだと思いませんか?
気のせいかな?
とりあえずいつもの様に作品情報から。
ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!
原題:The World’s End
ジャンル:SFコメディ
製作国:イギリス
公開年:2014年
監督:エドガー・ライト
概要:学生時代に当時の仲間5人でチャレンジし、失敗した12のパプを一晩でハシゴするという偉業「ゴールデンマイル」に再びチャレンジすべく、当時の仲間を地元へ呼び集めた主人公のキング。キングは学生時代の頃と何も変わらずで無茶ばかり、しかし、かつての仲間たちはすっかり「大人」になってしまっていた。そんな溝を抱えたまま5人は再び「ゴールデンマイル」に挑み始めたのだが、4軒目を迎える頃に異変が・・・キング達は無事「ゴールデンマイル」を達成することが出来るのか!
・・・と、あらすじを書いておきながら、実は「ゴールデンマイル」って映画中では結構どうでもいい要素と化してるんですよね。
今こうして「ワールズ・エンド」を観終わった今だからわかっていますが、借りた時はジャンルがSFコメディだってことを知らずに借りてるんですよ。
そもそも、映画を頭から観ていくと、コメディ調ではあるものの、SFらしき要素は皆無なのです。
なのですが・・・そんな感じで鑑賞していると途中でびっくりしますよ。うん。
さて、そんな「ワールズ・エンド」のおすすめ度は・・・
おすすめ度(5段階):★★★★
なんと「★★★★」です!!
実はあまり期待もなく借りていたのに、まさかの「★★★★」!
まあ、なんて言うんでしょうね。
私がこの映画の評価を上げた一番の理由はペース配分の上手さですね。
映画っていうのは大体がスロースタートです。
最初は退屈な導入から始まり、徐々に盛り上がっていって終わる・・・
しかし、多くの映画って最初の部分が長く、結構飽きちゃうんですよね。
一旦集中力が途切れてしまうと、映画の根幹から目が離れて、安易なデティールばかりに目が向かってしまいます。
そうすると、「ストーリーの辻褄が合わない」とか、「この表現は科学的におかしい」とか・・・
本質ではない部分がどんどん気になっていってしまい、映画が楽しめなくなっていってしまうのです。
ですが!この映画はそろそろ観てる人が飽きるかな~っていうところで話が急展開したりするのです。
後、外国のコメディにありがちな「下品さ」や「悪ふざけ」がさりげない(度が過ぎていない)ところも高評価です!
いや、実際はかなり強引なストーリー展開ですし、SFといった時に気になる科学的表現も結構無茶苦茶ではあるんですが、そんなことに目が向かないよう、鑑賞者の集中力を途切れさせない工夫が施されているのです。
何か久しぶりに娯楽を味わったな~って観終わった後に思えたのですよ。
観る人視点で考えて作られた映画・・・それがこの「ワールズ・エンド」なのです。
・・・珍しく絶賛してますね私。
じゃあ、何故そんなに絶賛してるのに「★★★★★」じゃないの!?出し惜しみしてるんでしょ!?
ってところなのですが、まあ・・・確かにスッキリ気分爽快ではあるものの・・・なんて言うんでしょうね。
もう一声欲しいな~っていう物足りなさがあるんです。
特に見終えた後に余韻に浸るほどの感動があるわけでもなく、考えさせられるような強いメッセージ性が感じられるわけでもなく・・・
ビール片手に鑑賞するには調度良いのかもしれませんが、折角時間をかけて映画を観るわけですし、観る前と観終えた後で、自分の中で何か変わったな~っていうものがあって欲しいといいますか・・・
まあ、そんな贅沢な要求により「★★★★」とさせて頂いた次第なのです。
でもでも、「★★★★」の中ではトップクラスですよ?
ここからはネタバレを含みますので、これから観る予定がある人は「ワールズ・エンド」を見終えてからにしてくださいね!
<以下ネタバレを含みます>
登場人物
主人公:ゲイリー・キング(キング)
額に6のアザがある通称「オーメン」:オリヴァー・チェンバレン(オリー)
家が金持ち:ピーター・ペイジ(ピート)
モテ男:スティーヴン・プリンス(スティーヴ)
ラガーマンでキングの相棒:アンディ・ナイトリー(アンディ)
オリーの妹:サム
高校時代の恩師:シェパード
街の変わり者:マッド・バジル
ピーターを虐めていた人:シェーン・ホーキンス
考察・感想(ネタバレ含む)
さて・・・SFっていうからには科学的な考察をしなければ・・・
と思いそうなものなんですが、この映画ってSF映画というよりは、むしろアクション映画なんです実は。
むしろ、アクションコメディといった方がしっくり来るくらいです。
まあ、霊幻道士みたいなものですね。
じゃあ、霊幻道士の道術について科学的に考察するのか・・・と言われれば、答えはノーです!
・・・じゃあ、考察出来ないじゃん。
ええ!!そうですとも!!考察なんてないんです!!
だって、コメディですし!!!
明らかにしたい要素なんてないんですよ!!だって、全て明らかですもん!
と、ゲイリー達同様、お酒を飲みながら観た私は開き直りたいところですが、折角ですから何かしら考えてみましょう。
ゲイリーと4人の仲間達の名前について
冒頭にしかでてこないので見過ごしがちなんですが、メンバーの苗字にイギリスらしい階級付けがされているんですよね。
ゲイリー・キング = King(王)
オリヴァー・チェンバレン = Chamberlain(侍従)
ピーター・ペイジ = Page(小姓)
スティーヴン・プリンス = Prince(王子)
アンディ・ナイトリー = knightly(騎士・・・っぽい)
こんな感じでしょうか。
確かにスティーヴはゲイリーをライバルだと思っていたと言っていたので、王に継ぐ階級の王子。
ピートはメンバーの中で最年少と言われているので、一番階級が低い小姓。性格的にもなんとなく雰囲気でてます。
アンディはゲイリーの相棒と言われていたので、王を守る騎士。実際、戦闘力も随一ですしね。
オリーは・・・額に6のアザがある以外に特徴的なエピソードがなかったのですが、ブランクになってからは積極的にビールを買って回ったり、皆の身の回りの世話をしだすので、侍従っぽくはあります。
この階級はゲイリー達の立ち位置にも現れていたりします。
向かって左からオリー、ステイーヴ、ゲイリー、アンディ、ピートの順で歩いたり、座ったりするシーンが目立ちます。
これって、王であるゲイリーを中心として階級が高い順でゲイリーの近くにいますよね。
階級順に並べると、ゲイリー>スティーヴ>アンディ>オリー>ピートっていうことなのでしょう。
皮肉にも大人になってからの順位は逆になってしまっているみたいですけどね。
ピート:家が裕福、家庭にも問題がない
オリー:家庭もあり、仕事も順調
アンディ:仕事は順調そうだが、家庭に問題あり(離婚危機)
スティーヴ:家庭(離婚)も仕事(買収)も不調気味
キング:転落人生
学生時代のエピソードと本編のシンクロ
さり気なく冒頭で流れるゲイリー達の学生時代のエピソードについてなのですが、大人になったゲイリー達の行動と全く一緒だってことに皆さん気づいていましたか?
(ワールズ・エンドを観ずに、この考察だけを見ている人はそんなこと言われても困るでしょうけど・・・)
学生時代の流れ
- キングの愛車野獣(ビースト)で5人はヘイブンへ向かう
- キングがピンポンダッシュを行う
- ファースト・ポストで座席位置
- オールド・ファミリアでの座り位置
- フェイマス・コックでマッド・バジルと出会う
- クロス・ハンズでサンドウィッチに出会い、ショットを飲んで、トイレの壁を殴りつける
- グッド・コンパニオンで5人横並びで立って飲む
- トラスティ・サーヴァントでグリーン牧師と出会って大麻を購入、オリーが脱落
- トゥーヘッド・ドッグでサムと出会い、トイレへ
- サムはその後も着いて来るが途中で帰す
- ビーハイヴでキレまくり、アンディが暴れまくって騒ぎを起こす
- ビーハイブから逃げ出した4人は大麻ハウスと呼ばれていたボウルズ・クラブへ
- 大麻でおかしくなったピートが退場
- 最後の3軒は諦めて丘へ
最初にゲイリーが学生時代の思い出話をしている際の「ゴールデンマイル」はこんな感じの流れだったはずです。
それに対して、大人になったキング達の「ゴールデンマイル」はどんな感じだったでしょうか。
流れに沿って、答え合わせしてみましょう。
大人になったキング達の流れ
5人の車の乗車位置も学生の頃と全く一緒になっています。
歩いている際の立ち位置も皆一緒ですね。
キング達の座り位置も学生の時とほとんど一緒ですね。
学生時代は全員横並びでしたが、大人になったキング達に関しては順序はほぼ一緒なものの、オリーがキングの向かいに座っているため、微妙に位置は違いますけど・・・
その後、キングがピートの真面目な話を無視してショットを持っときます。
ここで皆が帰ると言い出したことに腹を立てたキングがトイレの壁を殴りつけようとします。(寸でで止めますけど)
ここでも学生時代同様、横並び、且つ、立ち位置も全く一緒で飲んでいます。
学生時代の時のように大麻購入時の合図を送りますが、断られてしまいます。
ちなみに、学生時代6杯目を飲んだ後に脱落したオリーですが、今回も6杯目を飲んだ後に1人向かったトイレでブランクとすりかわっているようです。
戻ってきた時から既にオリーはおかしくなってしまっていました。
さらに、ブランクの話をするためにサムをトイレへ連れ込みます。
まあ・・・トイレへ行った目的は違えどここも一緒ですね。
ゲイリーは学生時代の話をしたときに、サムを途中で帰すと言っているものの、実際どこで帰したのかはわからずじまいです。
しかし、マーメイドで踊っているシーンがあるので、少なくともマーメイドまでは一緒だったのでしょう。
大人のサムはビーハイブまで着いてきていますが、騒ぎを起こした後に車で1人帰されました。
しかも、学生時代同様に着てる服を破いちゃってますね。・・・っていうか、アンディ強すぎるんですけど!!
なんていうか・・・サモハンキンポーを彷彿とさせます。もうこの辺からすっかりアクション映画になってますね・・・
ゲイリーまで酔拳みたいな動きで戦い始めちゃうし・・・
クロス・ハンズではやたらめったら大ぶりだったスティーヴのパンチも、この辺りからコンパクトになってますね。(ちゃんと当たったし)
酔えば酔うほど強くなるんでしょうか・・・ゲイリー達って・・・正に酔拳!
この時、お互いにブランクではないことを示すために、過去の傷を見せ合うのですが、何故かゲイリーは腕の傷を見せたがらないシーンがありますね。
何でかな~って気になっていたのですが・・・答えは最後の方で分かります。
まあ・・・確かにおかしくなってますね。急にどうしたんでしょう。
結果的にブランクの集団に捕まったピートはここで退場となってしまいました。
偶然目の前にあったキングス・ヘッドに逃げ込みます。
いよいよ学生時代とは違う行動を始めました。
っていうか、学生時代には最後の3軒を諦めたところで話が終わってますし、大人ゲイリー達はその先へと遂に進み始めたわけです。
その後・・・
さて、無事10件目のキングス・ヘッドで飲み終えたゲイリーはアンディの制止を振りきってホール・イン・ザ・ウォールも制覇し、いよいよ最後のワールズ・エンドへ・・・
ゲイリーとアンディの格闘の最中でわかることですが、ゲイリーの両手首には包帯が・・・
映画の最初に車座になって話していたことからゲイリーがアルコール依存症患者であろうことは予想出来ましたが、この包帯ってなんなんでしょうか。
作中では語られないため、推測になってしまいますが、身勝手で自由奔放で他人からは好き勝手に人生を楽しんでいるように見えていたゲイリーですが、自分の人生に落胆し、自傷行為に走っていたのかもしれません。
こんな状態になっても尚、「ゴールデンマイル」にこだわり続けたのは、人生で最高だったあの高校卒業の一夜を今の自分が超えることで、あの時から止まってしまったままになっていた自分の人生を新たに動かし始めたいと考えていたのかもしれませんね。
そんなメッセージが映画に隠されていたのだとすると、大人になったゲイリーが学生時代をトレースするように「ゴールデンマイル」へ挑んだ描写は辻褄が合うかもしれません。
こうして改めて考えてみると、ジョークに富んだ上、奇想天外で強引過ぎと思われたストーリーの裏には、ちょっぴり深い意味があったのかもしれませんね。
しかし、お酒に弱い上に最近までお酒なんて全然飲まなかった私が言うのもなんですが、ビール12杯ってそんなに無謀なのでしょうか。
なんか、12杯ぐらいだったら飲めちゃいそうな気がしなくもないのですけど・・・
・・・やっぱり大変なのかな?
その他の似ている部分
現代のオリーは耳にハンズフリーで話せるマイク付きイヤホンを付けているのですが、学生時代に携帯でしゃべっている姿とそっくり!
結局、大した考察にもなっていない割に、ここまで書くのに5時間30分もかかってしまいました。
映画を観直しながら書くので、やっぱりどうしても時間かかっちゃうんですよね・・・
やっぱり映画考察の記事は骨が折れます!!以上です。
Studio POPPOのプログラム兼システム担当です。
ウォーキング・デッド大好き!ダリルかっこいいよっ!主食はキノコです。
作中、どのくらいの時間が流れてるか分かりませんが
短時間ならビール12杯はキツいです
ジョッキで飲んでるなら、間違いなく500ml×12の6リットルの摂取量になりますしね
私は、最近はビール飲んでも、酔う前に胃が張って苦しくなるので呑めなくなりましたw
結構明るいうちに開始して、最後は深夜になってますので、少なくても6時間以上はかけているような気がします。
ま~私は殆どお酒を飲まないので、半日ぐらいかけてビール12杯という量が伝説級の難しさなのかどうかがいまいち判断できないのですけどね・・・