メロス、戻ってこなかった…

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こんにちは!栁澤蘭丸です。

メロス…という名前で思い浮かぶのは太宰治の「走れメロス」の主人公ですよね。いきなり「メロスは激怒した」という一文から始まることでも有名ですね。うん。
「走れメロス」のあらすじはこんなかんじ。
メロスはごく平凡な羊飼いの青年。ある時妹が結婚式を挙げることになったので、その準備にシュラクサイの町へと出かけます。町で買い物を終えてから幼馴染のセリヌンティウスに会いに行こうと歩いている最中、メロスは人々が怯えながら暮らしていることに気づいちゃいます。町の人から理由を聞くと、その町の王のディオニスが、人を信じる心を失って疑心暗鬼に陥り、無実の人を見境なく処刑するから…と言います。というわけで、メロスは激怒。「なんていう悪い王様だ、生かしてはおけない」。随分と短気なメロス…彼は人一倍正義感の強い男だったのです。
思い立ったが吉日、というわけで、妹の結婚式のためにたくさん買い物した買い物袋を背負ったまま王様の城へ忍び込もうとしてしまい、即、捕まります。即。
メロスの持ち物の中に短剣があったため、王から「お前、この短剣で何をしようとしたんだ」と問い詰められ、馬鹿正直に「それで民衆を王から救おうと思った」と言ってしまいました…。メロスが王様に掴まった経緯はこんな感じ。メロス、アホっぽいです。
そしてお前は処刑じゃい!!と言われると、「3日間だけ待ってほしい。3日後に必ず殺されに戻ってくるから。妹の結婚式を挙げてやりたいので」とメロスは頼みます。王様は、「そんな約束が守られるわけないじゃん。今、ワシが疑心暗鬼って知ってるんでしょ?もうアホなの?」と鼻で笑うと、メロスはなんと「幼馴染のセリヌンティウスってやつがこの町に住んでいるから、俺がいない3日間はそいつを人質においていきます。俺がもし約束を破ったらそいつを絞め殺してくれればいいです」と言っちゃいます。セリヌンティウス的には完全に貰い事故。
そんなこんなでセリヌンティウスが人質になってる間にメロスが走って家まで帰って、妹の結婚式を挙げたらまたすぐ走り、まぁ紆余曲折あって諦めそうになってしまったりもしたけれど一応間に合ってセリヌンティウスは助かったよ、王様は二人の友情に感激して、信じる心を取り戻したよ!めでたしめでたし。

という物語だったわけですが…
これは実は太宰治の実体験が執筆のきっかけとなった物語と言われています。
熱海温泉で小説の執筆をしていた太宰治は、連日遊んでいたのでついにお金が尽きてしまいます。と、そこへ現れたのは太宰治の妻に頼まれて様子を見に来た大学時代の友人「檀一雄」さん。妻は「遊びほうけているのでは…」と心配になったのです。その心配は的中していたわけですね。檀さんは、太宰さんの奥さんからお金を預かってきていたので、そこで清算して帰…ればよかったのに、檀さんを巻き込んでさらに遊び、預かってきたお金すら使い果たしてしまいました。太宰…。
どうしようもないので太宰さんは自分の師匠である井伏鱒二のところへお金を借りに行くことにしました。檀さんを人質として宿において…。
数日たっても、何の連絡もないため檀さんは宿の人に許可を貰い、太宰さんがいると思われる井伏鱒二先生の家に行くと、太宰さんは師匠と将棋を指している最中でした。
「はぁー!?何してんの、それはなくね!?」と怒る檀さんに、太宰治は「待つ方と、待たせる方、どっちがつらい思いをしていると思う?」と意味不明な言葉を言い放っています。多分待たせてる方が気が重いんだって意味なんでしょうけどね、連絡もなく待ってる方がつらいわ!!
というわけで太宰メロスは戻ってこなかったのでした。ちなみにお金は師匠が支払ってくれました…。(なかなか「お金がなくて熱海の滞在費を払えないので貸してください」と言いだせなかったため時間がかかっていたそうです。檀さんが来たから言いだす手間がなくなって、ラッキーな人です。。

みなさんも、友人に命を預ける時はお気を付けください!
栁澤でした!

メロス、戻ってこなかった…_挿絵1

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