気遣いの人・織田信長からのお手紙

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こんにちは!蘭丸です。

みなさんは信長さまにどんなイメージを持っているでしょうか?お父さんのお葬式に変な格好でやってきてお焼香の抹香をむんずっと掴んで投げつけた親不孝者とか、禿げ頭の部下を足蹴にする鬼上司、比叡山を焼き討ちにするバチ当たり、妹の婿の頭蓋骨で杯を作って喜ぶサイコ野郎…そんなイメージなのではないでしょうか!

でも実は信長さまって、(当時の)美形で、女装して踊ったり、新しもの好きで金平糖に喜んだり、色んな人に贈り物を送ったり、裏切り者にも「何が不満だったか教えて、直すから!」と訴えたり、お酒が弱かったり、女子力高い系武将(?)なんですよ!実は。

というわけで今日は信長さまが誰かに宛てたお手紙を紹介したいと思います。

その1:旦那様の浮気に悩むおねねさま(20代?・主婦)に宛てたその名も「羽柴秀吉室杉原氏宛消息」

「こないだは来てくれてありがとう。
お土産、全部良いものだったよーありがとう!

それにしても、前会った時よりずいぶんと綺麗になってたね!
あのハゲネズミ(←秀吉)は、何が不満っていうのかね。あいつに、君みたいな良い人二度とつかまえられるわけないんだけど。
だから、ねねも、あいつが浮気してても気にせずに堂々としたほうが良いと思うよ。嫉妬して怒ったりしないほうが良いと思うなー。

ちなみにこの手紙は藤吉郎(←秀吉)にも見せてね。

織田信長【天下布武】

この手紙は、おねねさまが信長と仲が良かったので、秀吉が浮気しまくるってことを悩んで愚痴ったために送られてきた手紙と考えられています。
そこで信長は、おねねさまの溜飲を下げようと、わざわざ【天下布武】と朱印を押してある「公式文書」としてお手紙を送ったのです。

これを見た秀吉は、直接叱られていないのでまだ「セーフ」だけど、嫁が嫉妬して怒っていることを信長さまが知っている…これから先はアウトだ…ということを悟ることになります。しかも、公式文書。これを見たおねねさまはきっと、少しはほっとしたことでしょう。(※ただし秀吉の浮気癖は直らなかった。度胸あるじゃん…)

その2:最近功績を上げられていない佐久間信盛さん(48歳・重臣・やる気出ない)への手紙

「こら、信盛、お前最近ちゃんと頑張ってるの?
光秀や秀吉はめちゃくちゃ手柄上げてるけど、お前からは5年も手柄を立てたって話聞かないんだけど、どうして?
無理なら無理って相談してくれればいいのに何も言ってこないし。
そりゃね、もう、信盛も隠居するような年齢だよ?
大変なのは分かるけど、でも、お前より年上の勝家なんてすごい頑張ってるよ?お前だってやれるはずだよ。
あ、うーん勝家は加賀でなんか負けてたような気がするけど…でもまぁ頑張ってるよ?勝家。
勝ち負けじゃないからね。やる気の問題。勝家は、めっちゃやる気があるんだよ。
お前はこのままじゃダメ!
こうなったら、頑張って手柄を立てるか、切腹するか、改易してどっかに逃げるかしかないよ?
もっと頑張ってね!!

信長より」

この後も佐久間さんはやる気が出ず、結局、高野山で頭を丸めることに(改易を選んだ)…。
ちなみにこの手紙、最初は行と行の間が結構空いてたんですが、勝家(権六)を褒め始めたあたりから尺が足りねえ!と信長さま気づいたようで、どんどん行間が狭く、字が小さくなっていくのが特徴!信長さんは途中から書いておきたいことがどんどん増えるタイプだった模様ですね。

このお手紙を貰った頃の信盛さんは、信長に対して色々失礼なことをしてしまっていました。自分の跡取りが、信長さまの与力(直臣)に対して横柄な態度をとったり、自分自身も失敗の言い訳をしてしまったりと。それでも信長さまは「相談してほしかった」と言っています。決して、「1人で何でもできる人以外死ね」なんて思ってないんです!しかも戦は勝ち負けではない(…?)とも言ってくれています。権六(勝家)は負けたけど頑張ってるよ!と執拗に勝家推ししてます。これは、歳取っても頑張れるんだよという応援だったに違いない。多分。十分気長で優しいではありませんでしょうか?

その3:日本史上初の「爆死者」松永久秀(68歳・謀反常習犯)へ

信長さまが松永久秀さんを家康に紹介する時、信長さまは(多分にやにやしながら)「このじいさん、すごいんだぜぇ」と紹介しました。「常人には成し得ないことを、なんと3つもやらかしてるんだよ!」と。

まず一つ目は「将軍暗殺」…将軍足利義輝を殺すことに成功しています。義輝は、ものすごい剣術の達人。それもそんじょそこらの達人レベルではなく、もはや「剣豪」級だったそうなんですが、お構いなしです。
そして二つ目は「主君殺し」…当時仕えていた三好長慶を殺しています。
そして三つ目…「奈良の大仏焼き討ち」です!!ちょっ!神罰を恐れずにやりたい放題ってところを信長は評価してたみたいですけど、勘弁してほしいです。

(↑※諸説あり)

こんな、クセが強すぎる松永さんは、信長に対しても3回も謀反を起こしています。そして最後は「爆死」…どうやったらそんな死に方になるのか…、という感じですよね。クセ武将が好きな信長は、松永さんに対して、これでもか!これでもかっ!てほど、譲歩しています。

松永さんとのやり取りは、手紙として残っているわけではありませんが多分こんな感じ。

<謀反失敗その1>
信長「もうすんなよ」
久秀「はい」

<謀反失敗その2>
信長「だからさ、僕はあなたのそういう面白いところ尊敬してるから許すけどさ、もうしないでね?」
久秀「はーい」

<謀反失敗その3>
信長「もうアカン…これをタダで許したら示しがつかん…そうだ、大事な茶器を差し出したら許すって伝えてきて!」
久秀「信長にあげるくらいなら爆破する。ついでに俺の首も爆破。信長には見せたらん
信長「ちょっ、何で!?」

という感じです。久秀さんのほうが多分よほど世の中の信長イメージに合ってると思います。なんせ大仏を焼く時も「なんであんな金属の塊を有難がってんの?バチなんてあたるわけないやん」と言ってたくらいですし。また、謀反を起こした時の言い分は「ワシより弱いから。謀反起こされたくなかったら強くなったらいいやんけ」でした。かっこいい。そして最後は降伏より爆死を選んだため爆死が有名ですが、ものすごくクセの強い人だったのです。信長が「尊敬してる」というのもうなずけます。しかも、この人は信長の爺や(平手さん)のお友達だったそうですからね、浅からぬ縁もあったのですね。

どうでしょうか。信長って案外気が長くないでしょうか。筆まめ、丁寧、寛容。有能なら身分関係なく、血の繋がりも関係なく重用してあげる。面白い人が好き。

もしもタイムスリップしてあなたが「信長の〇〇」になったとしても、すぐに手打ちにはされないと思うので、士官をおすすめしたいと思います!

栁澤蘭丸でした!

気遣いの人・織田信長からのお手紙_挿絵1

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