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皆さんこんにちは。
今のところ、全てが合理的という前提であれば、キクさんが誰かの手によって殺された可能性は極めて低いと見立てている伊達あずさです。
現在で登場している人物の中に、遺言が公開されてすぐのあの段階でキクさんを殺害したとしても、特別得をするような人物がいないのですよね。
もちろん、突発的な感情や本件からみて偶発的な私情が殺害動機だった場合はその限りではないのですけど、それならそれで、それなりには諍いの予兆などがあってもいいようなものですよね。でも、他殺を真っ先に疑っている善蔵さんからもそのような話はないし・・・
善蔵さんはほんと何で他殺だと思ったの?村の人達みたいにそう噂するだけならまだしも、わざわざ身銭を切って探偵を雇うぐらいですから、その疑い様は尋常じゃないですよね。
やっぱり善蔵さんってちょっと苦手だなぁ・・・
とはいえ、私が探偵を生業にしていられるのはお金を出して下さる依頼人の方々のおかげですからね。依頼料分はしっかり働かなきゃ。
それはそうと、何かもう空木先生にはこの先もずっとお会いできなさそうですね。まあ、一人で頑張って稼いできますよ。
今日も綾城家の居間にお邪魔し、前回に引き続き、完治さんにお話を伺いたいと思います。
えっと、前回は遺言の内容をお聞きしたところまででしたね。
そういえば、完治さんから遺言の内容について書かれたメモをいただきましたけど、わざわざメモを取っていたということは、完治さんも遺言は口頭で伝えられただけってことですよね?だとして、遺言書の原本は誰が保管しているのでしょうね。遺言の内容を鑑みるに、遺言の公開に参加されていた親戚3人以外の第三者に保管権を委ねておかないと、キクさんの意図通りに財産の分与が行われない危険性もでてきそうです。
親族経営の綾城商事であれば、キクさんの遺言に関しても顧問弁護士が担当してくれそうなものなのですけどね。遺産の額も大きいのでしょうし、分与の対象も複数いるわけですから、身内だけを集め、口頭のみでの遺言を伝えるなどという危ない橋は渡らないと思うのですよね。
それはそうと・・・遺言に登場した綾城ユリさんというのはどういった方なのですか?
完治「会長の一人娘だ。20年前、家を飛び出したまま行方不明だ」
つまり、行方もしれない人に綾城商事の全権が委ねられてしまったという事ですか。
完治「会社のことは儂と二郎に任せておけばいいんだ」
まあ、居るのかどうかも分からないような人に突然全権を委ねられても会社としては困っちゃいますよね。
では遺言にあった後継者の印というのはどんなものなのですか?
完治「どんなものかは知らんが・・・綾城家の先代の実の子供や孫といった本家筋の人間だけが手にできるそうだ。儂ら分家筋の人間には縁のない代物だよ。ただし、正当な後継者が現れなかった場合、綾城商事は儂ら親族の手によって運営して行くことになる・・・当然だな」
まあ、正統な後継者がいなくなったなどと言う綾城家内部の問題だけで、会社が勝手に解散されたのでは、そこで働く社員達も納得できないでしょうしね。そういえば、春日さんは綾城商事の経営にかかわっていないのですね。
完治「酷い借金で随分金に困っているようだ。元々ここの遺産をあてにしとった上に、会長や儂にまで借金をしとる。馬鹿な奴だ」
春日さんはお金に困っていたのですか・・・しかし、お金持ちそうな綾城家の近親者でもお金に困る事なんてあるんですね。一体どんなお金の使い方をしたら、そんなことになるのか。凡人の私にはちょっと想像がつかないな。
後は・・・そうそう。アキラさんって完治さんの息子さんなのですよね?
完治「儂の息子だが?23にもなって、仕事もせずにフラフラしおって・・・」
遺言が公開された日は息子さんもご一緒だったのですね。
完治「なにっ?儂は知らんぞ!第一・・・アキラは遺言公開のことなぞ知らんはずだ」
まあ、そうだろうな~とは思ってました。アキラさんの訪問が正式なものであれば、善蔵さんが把握していないわけありませんもんね。
さてと・・・とりあえず、いまのところお聞きしたかったことはこれで全部かな。
長い間お付き合い頂き、ありがとうございました。
それにしても、完治さんって最初の感じ悪そうな印象に反して、まあまあ、社交的な人でしたね。
さてと・・・じゃあ、善蔵さ~ん!ちょっと、お時間いいですか?
完治さんに遺言の内容についてお聞きしたのですけど、キクさんの遺言がそのまま実行されるならば、綾城ユリさんという方に綾城家の全権が委ねられちゃうらしいのですよね。善蔵さんはユリさんがどういった方なのかご存じですか?
善蔵「キク様のお嬢様です。大変美しく、心の優しい方でした。ある事情でこの家を出られたまま、今ではどこにいらっしゃるのかさえ分からないのですが・・・考えてみれば、当家の後継者となられるのは、ユリ様以外には考えられません」
キクさんの遺言は善蔵さんにとって納得の内容だったみたいですね。これで更に善蔵さんが他殺を疑った理由がなくなってきましたよ。
じゃあ、キクさんの遺言には後継者の印というものが登場したみたいなんですけど、善蔵さんはそれが何かご存じだったりしますか?
善蔵「どんなものかは存じませんが・・・ユリ様が持っておられるのでしょうか?」
まあ・・・そうみたいですね。
完治さんの口ぶりだと、ユリさんは円満に家を出たわけではないという印象だったんですけど、家を出て行こうとしているユリさんにキクさんが後継者の印を持たせたというのであれば、ちょっと話は変わってくるかもしれませんね。
そういえば、春日さんは屋敷にいらっしゃらないのですね。もうご自分の家の方に戻られたのでしょうか。
善蔵「あずさ様は今日もお出かけです。まもなくお帰りになるはずですが」
まだご滞在されているのですね。
さてと・・・これからどうしよう。キクさんの他殺を示すような物証はおろか、動機すら何も浮かんでこないのですよね。本当に他殺なの?
大分調査も行き詰まってきちゃったし、今日はここまでにしておこうかな。
Studio POPPOのプログラム兼システム担当です。
ウォーキング・デッド大好き!ダリルかっこいいよっ!主食はキノコです。