昔話の「姥捨て山(うばすてやま)」、メジャーじゃないほう

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こんにちは!栁澤蘭丸です。

日本の昔話で「姥捨て山(うばすてやま)」という話があるのをご存知でしょうか。桃太郎や浦島太郎、かぐや姫などに比べれば知名度は低いのかもしれないけど、それでもそこそこの人は聞いたことがあるのではないかなと思います。

メジャーな姥捨て山のあらすじは、こう…。
ある地方を治める殿様が「60歳を過ぎた年寄りを山に捨てなさい」という決まりを作りました。これに背くと、連帯責任で村ごと滅ぼすという厳しい御触れです。殿様は年寄りはもう用済みで、食い扶持を増やすだけの存在だと思っていたのです!
ある男は、小さい頃に父親を亡くし、母親に女手一つで育てられました。母親は齢60を超えていましたがまだまだ体も丈夫で元気に働いています…が、御触れのとおりに山に捨ててこないと大変なことになってしまいます。
どうしても、苦労を掛けた母を山に捨てたくなかった男は、母親を床下にかくまい、ひそかに一緒に暮らすことにしました。
息子と母の床下暮らしが始まって間もなくしてから、隣の国の殿様が、息子たちの住む国の殿様に無理難題をふっかけてきました。「灰で縄を編んでみろ。それが解決できないなら攻め込んでやる」…という、戦国時代ですら「はぁ?こんなアホが治めてる国やったんか、悠長にしやがってるし奇襲でもかけたろか!」っていう感じの難題なのですが、お城の者がいくら考えても答えが分からなかった殿様は国中にまた御触れを出します。「灰で縄を編めた人に御褒美をあげます」と…。それに対して母親が「塩水に漬けて、乾かした縄を燃やすと『灰で編んだ縄』になるよ」と教えてくれたので、息子はそれを実践しお殿様のところに持って行き、褒美をもらいます。しかし隣の国の殿さまは懲りずにまた「ほら貝に糸を通してみろ」とか、「打たなくても自動演奏される太鼓を作れ」だの言ってきますが、母が解決、息子がご褒美をもらってくることを繰り返します。
殿様は若者に感心して「お前頭良いね!何でも望みを聞いてやる、言ってみろ」と言ったので、若者は思い切って「実は今までの難題を解決してきたのは60過ぎた母の知恵だったんです。年寄りは、知恵を貸してくれるとても大切な存在です。どうか60過ぎたら山に捨てるっていう決まりを撤廃してくれませんか」と頼んでみました。殿様は「そっかー…年寄りって若者の世話になってるだけの、使い道のないやつらだと思ってたけどそうじゃないんだね。分かったよ、撤廃するよ」と言ってくれました。
というわけで親孝行息子と、知恵者のオカンは末永く幸せに暮らしましたとさ!

という感じです。
お年寄りは、若者にはない経験を持っている。お年寄りに助言を求めると良いことがある。お年寄りは大事にしよう!という教訓が含まれていると思われるお話ですね。

実は、姥捨て山には何パターンかあります。切り口が全然違うのです。メジャーなのをAバージョンとして、こっちをBバージョンとしましょう。

例えば…決まりのために山に捨てられるところまでは同じなのですが…。
Bバージョンの息子は、結婚して孫がいます。孫を可愛がってくれる大好きな母親を捨てることはやはりできないと思うのですが、母親が、「自分を捨てないと孫まで殺されてしまう。だったら自分が死んだほうがマシ」と言うので、自分も息子が可愛いBバージョンの息子は、泣く泣く、母を背負えるカゴに入れ、そして道中少しでも賑やかになれば、と孫もつれて、山に連れて行きます。
孫は道中、まるで遠足のようにはしゃいでいますが、息子の心は沈み切っていました。なるべく村から近いところに置いていきたい…と思うのに、母親は「もっと遠くに連れて行ってくれ」と言うので、いくつも山を越えてしまいました。
「そろそろこの辺でいいだろう。ここなら自分は帰れない」と母親が言ったので、息子はそこに母を置いていくことにしました…「お母さん、達者でいてください」と声をかけて帰ろうとした時、ふと、この背負ってきたカゴをどうしようか、と考え「このカゴ、どうしようか…置いていこうかな…」とぽつりと言うと、孫が「ううん、持って帰ろう!僕がお父さんを捨てに来るときにまた使えるじゃん!」と明るく言いました。それを聞いたB息子は、母親を再びカゴの中に座らせ、元来た道を泣きながら戻りましたとさ。

っていうのもあります。孫…山に来た意味が分かっててその明るさ…サイコパスか。それとも、大好きなおばーちゃんを捨てようとする父に対する、遠回しな抗議なのか(賢すぎー)。こっちは、「諸行無常」を説いているような気がしないでもないですね。「子供叱るな、来た道じゃ。年寄り笑うな、行く道じゃ」という言葉もありますが、「今」は年寄りの気持ちは分からなかったけど、いざ「お前も捨てにいくね」って子供から言われてやっと親の気持ちが理解できたのです…。B息子…!もう少し想像力があれば分かりそうなもんなのに、お前がアホだから孫がサイコパスキャラになってしまったじゃないか。

というわけでした。お年寄りであふれかえる予定のこの日本。どこまで大事にして差し上げられるかは正直、分からないところはありますが、それでも高度経済成長期に日本を支えてくれた方々ですし…大事に…しよう…、若者がマイノリティ化してて数で負けてるから選挙は行っても行かなくてもどうせ若者のための政治は行われないかもしれないけど、それでも…大事に…しよう!!

栁澤蘭丸でした~。

昔話の「姥捨て山(うばすてやま)」、メジャーじゃないほう_挿絵1
マインクラフトの世界でババアが捨てられても多分素手で木材入手→作業台作成→斧作成→家建てる。
そのへんの草壊して種入手して家の前で畑耕す。

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