Studio POPPO

投稿日：2023年3月13日

前回からの続きです！

皆さんこんにちは。
大きな勘違いをしていたのかもしれないと思った伊達あずさです。

どうやら自分の推理に固執するあまり、視野が狭くなっていたようです。
一連の殺人を綾城家に対する悪意だとしてこれまで推理を組み立ててきてしまっていたのですが、そもそもそれが間違いだったのかもしれません。
綾城家にとっての本当の敵は完治さんと二郎さんの方で、神田さんはその魔の手から綾城家(綾城商事)を守ろうと動いていたのだとすれば・・・
完治さん達って、確かに分かりやすい悪人像ではあったんですけど、具体的には何の悪事の証拠も出てこなかったので、逆に穿って見過ぎていたのかもしれません。

この仮説であれば、アキラさんがキクさんを殺害したのは神田さんの指示ではなかったと言う可能性も考えられます。
顧問弁護士である神田さんは、完治さんらが綾城商事の全権を握った場合、キクさんの旦那さんと同じような商売のやり方に戻ってしまう事を恐れたのかもしれません。だからこそ、キクさんを説得し、ユリさんに綾城家の全権を委ねるよう進言したのでしょう。
アキラさんはユリさんに綾城家の全権を委ねるとした遺言が公開される前に、本当はキクさんを殺害してしまおうと目論んでいたのかもしれません。自分の親である完治さんに綾城家の全権が移譲されれば、何れはアキラさんのものとなりますからね。

しかし、アキラさんがキクさんを殺害するよりも早く、遺言が公開されてしまいました。
ですが、完治さんらに都合の悪そうなあの遺言が公開されてからも、かなり余裕なご様子でしたから、恐らく山本佐和子さんが経営していたという孤児院がらみか何かで、ユリさんが亡くなっていることに気付いたのでしょう。

この場合、ユリさんに相続されるはずだった遺産は和人さんとユリさんの子のもの(代襲相続)となりますが、完治さん達にとって大事なのは綾城商事の経営権であり、春日さん以外はキクさんの金銭的な遺産にそこまで執着していなかったのかもしれません。もし、綾城家の直系となるユリさんが出て来た場合には、多少不安も残るでしょうけど、綾城家の直系ではなく、更に綾城家を追い出されている和人さんが後からしゃしゃりでてきたところで、既に綾城商事で高い役職にある自分達の地位が揺らぐことは無いと完治さん達は考えていた可能性があります。
ユリさんの子についても、現在は未成年かつ行方不明という状態ですから、そのまま有耶無耶にするなり、不在の間に社内での地盤を固めるなりしてしまえば十分に対処できると考えていたのかもしれません。

そこで完治さん達に綾城商事の経営権を与えたくない神田さんは、綾城家の直系となるユリさんの子供を擁立した上で、邪魔となる完治さんと二郎さんを排除してしまおうと考えたのかもしれません。これなら、神田和人説のときにあった問題点を一気に解消することができます。

ちなみに春日さんの件については、神田さんが一連の犯人だと気付いて、強請をかけてきたか何かで止む無く殺害したとかでしょう。春日さんはお金に困っていたらしいし、神田さんを強請る動機は十分です。

それにしても、これまでの情報から神田さんと和人さんはほぼ間違いなく同一人物ではありませんよね。
神田さんの方はかなりの確率で一連の事件の犯人でしょうからまだいいとしても、和人さんの存在感・・・薄すぎません？正直、今回の事件とは何の関係もないよね・・・まあ、全員に存在意味があるべきだなんていうのは物語的な考え方かもしれませんね。

というのが私の新たな推理なのですけど・・・あゆみさんはどう思われますか？これならキクさんの遺体が無くなった件以外は全部すっきりするはずです。

と、言いますか・・・私の予想があっているなら、完治さん達は綾城家に仇を成そうとしていた人物ということになるので、キクさんのゾンビが完治さん達を殺して回っていたとしても、伝承通りと言うことになります。
でもそれならそれで、もう少し完治さん達のキクさんに対する背徳行為の具体例をつまびらかにしてほしかったものですよね。それらが欠落していたせいで、妙な勘繰りをしてしまったではありませんか。
え？それらをつまびらかにできなかったのは私の調査能力不足ですって？それは、ぐうの音も出ませんね・・・

綾城家によって自殺に追い込まれた神田さんと綾城商事の顧問弁護士である神田さんが同一人物であると確認がとれたので、もう一度、神田さんの事務所に殴り込みをかけてみましょう。
まあ、神田さんが犯人であるという証拠は相変わらずないのですけど、法定相続の対象となっていた3名の殺害に成功し、ユリさんの子供の存在を確認できた時点で、神田さんは目的を果たしているわけですから、案外、素直に自供してくれるかもしれません。

というわけで、神田さんの事務所にやってきました。

秘書「また、あなたですか！いい加減にしてください！どうせ人違いよ！」

神田先生はいらっしゃいますか？

秘書「先生はいらっしゃいません！」

さてと、一体どう攻めましょうか・・・
神田先生が見ておられたと言うファイルを見せて頂けませんか？

秘書「これは誰にでも見せていいようなものじゃないんですっ！」

まあまあ、そんなこと言わずに・・・

秘書「ダメです！」

そこを何とか・・・

秘書「だめだったら、だめ！！」

そんな固いこと言わず・・・ねえったらねえ・・・

秘書「ふん！」

私だってあなたのような可愛い人を困らせたくはないんだ。

秘書「可愛いだなんて・・・嬉しいわ。ちょっとだけ見せちゃおうかしら！なんて言うわけないでしょ！お帰り下さい！」

そうりゃそうだ！！

秘書「いい加減にしないと警察を呼ぶわよ！」

呼べるもんなら呼んでみろ！

秘書「言ったわねー！待ってらっしゃい、本当に呼んでやるから！」

つ、つい売り言葉に買い言葉で・・・私は一体何を・・・

秘書「もしもし、警察ですか！今、変な人が来てるんです！ええ、そうなんです、その人です。もう、しつこくって・・・はい？はあ？・・・わかりました。そうします。どうも・・・」

ん？何か様子が変ですね。

秘書「警察があなたには全面的に協力しろですって！どうぞ！あなたが見たがっていたファイルよ！ぷんぷん！」

石野さんは怒りのあまりか、ぷんぷんと口に出しちゃってました・・・
それはそうと・・・空木パワー凄すぎ！！

さてと・・・やっぱり、ファイルには熊田先生が言っていた通り、例の保険金殺人事件における殺害方法などが書かれていますね。ただ、これだけじゃ証拠にならないと思うんだよな・・・別に自分が過去に担当した案件のファイルを熱心に見ていたからと言って、おかしくもなんともないし。

それより、神田さんが見つけたと言うユリさんの子供ってどうなったんだろう。もしかして、事務所につれてきていたりするのかな。

あのーすみません。神田先生が17、8歳ぐらいの子をここに連れて来たことはありませんでしたか？

秘書「時々、あなたぐらいの少年を連れて来られましたよ。とっても礼儀正しくて・・・誰かさんとは随分違うわね！」

少年・・・なんだ・・・
さて、これからどうしよう。神田さんも見つからないし、ユリさんの子供だという人のあてもなくなってしまいました。

何となく海上の崖まで来ちゃったけど・・・やっぱり何もないなぁ・・・

これまた海上の崖からの勢いで、天地さんのマンションに来ちゃったけど・・・天地さんは仕事で留守なんでした。

天地さんが教えてくれたお守りがどこかに落ちていればいいんだけどな・・・でも、陽が落ちてきてしまいましたね。
諦めかけたその時・・・草の間に隠れていたボタンを発見しました。あっ、押すボタンではなく、服のボタンです。

誰のボタンだろう・・・私のものでないとするなら、平吉さんか藤宮さん・・・あるいは熊田先生や春日さん、神田さんものと言う可能性もありますね。あっ、天地さんのという可能性もあるか・・・

平吉さんは神出鬼没、藤宮さんも最近はここにいらっしゃらないみたいですし、すぐに確かめられそうなのは熊田先生と天地さんぐらいか。
そりゃもちろん、私が知らない誰かのボタンという可能性の方が圧倒的に高いのですけどね。事実、春日さんの遺体が発見された時にもかなりの数の野次馬がこの辺までやってきてましたし・・・

大分暗くなってきちゃったし、今日はもう帰ろう・・・

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