国生み神話:メソポタミア編

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こんにちは、栁澤です!
東西南北、色んな地域の神話を見ていると大体は天も地も最初から当たり前にあったものではなくて、神様が作ったことになっていることが多いです。天も地もなかったんなら、じゃあ神様はどこにいたんだろう…という疑問がわきますが、まぁ神様だから何でもありということ?

というわけで、今回は四大文明のひとつ、メソポタミア文明あたりの国生み神話をご紹介します。日本で言うとイザナギとイザナミのしたことにあたりますが…

メソポタミアでは、大地や空は、1人の女神の体で出来ていることになっています。その女神様の名前は「ティアマト」。ファイナルファンタジーの風のカオスとして出てくるお方です。姿は、諸説あり、ヤギとかラクダだったとも言われますが、だいたいはドラゴンとして描かれます。この方は「塩水の女神」…しょっぱい。そして旦那さんは名をアプスといって「真水の神」。なんだろうこの微妙な夫婦。旦那さんに塩を足すと奥さんになっちゃうな。これはまぁ塩水というより海水のことでしょうから、ティアマトは海の女神様ってことになると思います。旦那さんは生き物が生きるのに欠かせない真水の神で、奥さんは生き物に恵みをもたらす塩水の神。メソポタミアでは水というものが大切だったんですねぇ。

この真水と塩水が交じり合った結果、たくさん神様が生まれ、またその子供世代の神様たちが孫世代の神様を作りました。そんな感じでたくさん神様が産まれまくった結果、旦那さんは「あー、うるさいのぉ…」と思い始めます。自分たちで作っておきながらそれはないんじゃないかなあ!とビックリですが、神話に出てくる神様って本当に人間味(?)溢れているので、そんなものなのでしょう。現代でも「保育園を作るな、うるさい」とおこるお年寄りがいるとニュースになっていましたし(悲しい)。

で、旦那さんのアプス神は、なんと思い切って自分の子や孫である神々を滅亡させようとします!!思いきりすぎです。当たり前のように返り討ちになるアプス神。いや、だって、祖父軍vs子供・孫連合軍ですし…無茶ですよ…。

しかし、愛する夫がやられたと知り、ティアマト女神は、超怒ります。アプス神が静かな暮らし>>>>>子供だったように、ティアマト神も旦那>>>>>子供だった模様。自分の子供への接し方が若干おかしいように感じる夫婦ですが、夫婦愛があるのは良いことですよね…多分。子供を優先され過ぎて悲しむ現代のお父さん方には眩しく映るかもです。ティアマト神も、神々を滅ぼそうとして、ドラゴンである自分と同じように鋭い牙を持つ怪物を次々に送り込みます。が、結局「知恵の神エア」の息子の「太陽と風の神マルドゥク」の持つ風の力によって口の中に嵐を起こされ、ビックリしたところに、心臓に矢を撃ち込まれて殺されてしまいます!

マルドゥク神がティアマト神の体を2つに引き裂いたところ、片方が海底に、片方が空になり、二つの目は有名なチグリス川とユーフラテス川になり、こんにちの世界が出来上がったそうです。じゃあ今までどこで戦っていたのだろう…分からない…混乱するぅ。この国造り(?)神話を、「エヌマ・エリシュ」といいます。

というわけで、こんにちの世界っていうのは、ひとり(一柱?)のおじいちゃんが、子供や孫がやかましすぎると怒ったおかげで、そして、その妻であるおばあちゃんが、旦那であるおじいちゃんをめちゃくちゃ愛していて、子供や孫の味方をしなかったため、存在しているのでした。かなりの紙一重ぶり。もしもアプス神が、子供や孫たちをほほえましく見守る性格だったら…、ティアマト神が子供や孫を底抜けに愛していたら…。どうなっていたんでしょう。いや、まあ、結果的に海や大地あってこその私たちなので、後から考えたこととはいえね。ストーリー的に結構ハチャメチャなのが気になります。夫婦愛しか頭に残らないですなぁ。

ちなみにこのマルドゥク神はこのような功績から、天の神アヌと最高神エンリルから権力を譲られます。そしてさらにこのマルドゥク神から「この世の支配権を譲り受けた」と言い、自分の王国の正当性を示すようにしたのがあの「ハンムラビ法典」で有名な、バビロニア王国のハンムラビ王なのでした。古代バビロニアでは、神々のために人間が存在しているという価値観だったので、この「神から支配権を譲渡されたよー」という言葉はとても重いものだったようですよ。日本の朝廷が、神の子孫であるのと似ていますね。

さらにちなみに、一応、アプス神がうるさいことに耐えられなくなった時一応はティアマト神はアプス神を止めています。やっぱりお母さん。そしてアプス神のとばっちりで攻撃を受けた時も、すぐには怒りませんでした。でも結局は孫がうるさすぎてこうなっちゃったけど。このような古代にも騒音問題ってあるんですね…。冗談抜きで、アプス神が子世代以下の神々を殲滅させようとしたのは「やかましかったから」なのですよね…。ティアマト神が一度はやめさせようとした殲滅を、結局はしようとしたのもやはり「新しく生まれた孫(←マルドゥク神)がやかましすぎたから」だそうで、騒音問題は昔から、深刻な問題だったんですね…。現代人も気を付けないといけません、まぢで><

栁澤でした!

国生み神話:メソポタミア編_挿絵1

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